譲渡担保権設定者につき特別清算開始があった場合、譲渡担保権はどのように処遇されるか
特別清算においては、別除権として取り扱われ法定担保権と同様、担保権の効力に影響はなく、手続外で自由にこれを行使することができる(中止命令によりその実行が中止されることがありうるかどうかについては、争いがある)。
特別清算手続においては、抵当権等の担保権は別除権として、その担保カバー額において議決権がない一方、手続外で自由に行使することができ(会社法547条2項・548条4項)、譲渡担保についても民再法・破産法と同様に考えることができる。
なお、債権者の一般の利益に適応し、競売申立人に不当の損害を及ぼすおそれがないときは、裁判所は担保権の実行としての競売手続の中止を命ずることができることとされており(会社法516条)、この点譲渡担保権のような非典型担保の実行についても同条の類推適用があるかについては争いがあるが、その対象となるという考え方が有力である。ただ、実際の運用において、中止命令はほとんどなされていない。また、中止命令が発せられるまでに任意処分が完了している場合は、中止命令は空振りとなるから、任意処分に対して中止命令がどの程度有効に働くか疑問な点もある。
特別清算手続においては、清算人の求めに応じて協定につき別除権者が任意参加することができ(同法566条)、担保権者も協定に基づき弁済等を受けることも考えられる。