I巻 コンプライアンス・取引の相手方・預金・金融商品 編
10007  コンプライアンス教育

役職員にコンプライアンスに関する事項の周知徹底を図るにはどうしたらよいか

結論

コンプライアンス教育は、金融機関内の業務の内容や職責に応じたプログラムにより行う必要がある。また、コンプライアンス教育は、定期的、継続的に実施する必要がある。


解説
◆コンプライアンス教育の必要性

コンプライアンスは、内部規程や組織体制等のみでなく、個々の役職員の現実の行為によって確保される。コンプライアンスの確保のためには、遵守すべき法令や内部規程等に基づいて、役職員が現実の業務遂行において守るべき行動規範をできる限り具体的に定め、それを遵守することの意味を理解させ、それに従うという意識を根づかせることが必要である。

◆コンプライアンス教育の方法

まず経営陣においてコンプライアンスの徹底が経営上の重要課題であることを認識し、内部規程と組織体制とを確立し、経営陣が範となり実践して、職員に浸透させるべきである。

遵守すべき行動規範・法令等の解説や、違法行為発見時の対処方法等を具体的に示した手引書(コンプライアンス・マニュアル)を策定し、これを全役職員に研修等で周知徹底することがまず求められる。これは金融検査マニュアル法令等遵守態勢の確認検査用リストにあげられている事項である。

また、業務の内容や職責に応じて、それぞれが実践すべき行動規範や遵守すべき法令等・注意点などを教育しなければならない。

さらに、違法行為発見時の内部通報制度については定期的に全職員に周知するなど、リスクや重要性等に応じて研修の頻度なども定めることになろう。

経営陣に対しては、外部の専門家を活用した研修なども効果的である。年1~2回など定期的に実施するほか、重要な法令改正等の際にできる限りタイムリーに実施するなどの対応が望まれる。

◆研修プログラムの見直しなど

コンプライアンス教育は、直ちに効果が現れるとは限らない。また遵守すべき法令等の改正や不祥事件その他の問題が発生したときには、その対応についてタイムリーな周知徹底が求められる。固定的な教育プログラムの繰り返しではなく、定期的に内容を見直して、必要な者に対して必要な教育が実施される態勢を構築する必要がある。

なお、個々の研修の効果測定のためにはアンケートやテスト等を活用していく必要がある。研修主催者にはこれらで判明した問題点を次の研修に生かしていく姿勢が求められる。