IV巻 担保 編
40716  処分不能な動産担保の処理

処分不能な動産担保はどのように処理すればよいのか

結論

処分不能な動産担保は、価値のある処分可能な動産と一緒に、いわゆるバルクセール的に買取先に引き取ってもらうことを交渉する。なお、残ってしまった処分不能な動産担保は、実費を負担し業者に委託して処分する。また、動産譲渡担保契約書上に無価値動産の譲渡担保権の放棄規定条項を設けることで担保権を放棄し、権利を債務者に戻すことも可能である。


解説

処分不能な動産担保は、価値のある処分可能な動産と一緒に、いわゆるバルクセール的に買取先に引き取ってもらうことを交渉する。その際に担保権の実行であれば、形式的には所有権の売買となるので、瑕疵担保責任を買取先にもってもらう旨の売買契約書を作成することで、値段は安くなる可能性は高いが、後日発生するリスクには対処しておくべきである。なお、バルクセールにおいても無価値物の引取りは値段を下げる要因となるが、入札等を活用して手続の透明性の確保と経済合理性の追求を行うことで対応すべきである。

処分できずに残ってしまった動産担保は、ゴミや産業廃棄物となるので、実費を負担したうえで、処分業者に委託して処分することになる。

また、明らかに担保目的物が無価値である場合、あるいは、価値はあっても処分コストと比較して持出しとなる場合には、動産譲渡担保契約書上に無価値動産の譲渡担保権の放棄規定条項を設けることで担保権を放棄し、権利を債務者に戻すことも可能である。