集合動産譲渡担保において、目的物のなかに、設定者以外の第三者の所有物件が混入していた場合、どのような問題があるか
集合動産譲渡担保権は、第三者の所有物件については及ばないから、所有権の帰属につき十分な確認が必要である。
譲渡担保は、債務者に所有権がある物について、この所有権を債権者に担保目的で移転する形式による担保である。
したがって、債務者にもともと所有権が帰属していない物について、債務者が譲渡担保を設定しても、債権者は、譲渡担保権を取得することができないことになる。
したがって、所有権留保物件、リース物件などが集合動産譲渡担保の目的物に含まれている(集合動産譲渡担保における特定の場所の特定の種類の動産に該当する)場合においても、それらの物件については集合動産譲渡担保権が及ばないことになる(【40734】参照)。
また、委託販売(委託者が受託者に対して委託手数料を支払って物の販売業務を委託する場合)や、消化仕入れ(商品が消費者に販売されると同時に仕入業者との売買契約が成立する場合)においては、販売業者が動産を現実に占有していても、その所有権自体は委託者や仕入業者に帰属しているから、販売業者は、これらの物に譲渡担保を有効に設定することができない。また、販売業者が動産を現実に占有したまま占有改定によって譲渡担保を設定しても、占有改定による即時取得は否定されているから、即時取得によって譲渡担保権を取得することもできないことになる。
以上のとおり、譲渡担保においては、設定者に目的物の所有権が帰属しているか否かを、慎重に確認する必要がある。また、譲渡担保の設定後においても、所有権の帰属関係を含めた定期的なモニタリングが重要である。