企業様の活用事例

福島銀行元人事総務部部長(現・会津支店 支店長) 河野一郎さん

 

企業活用事例

 福島銀行では、2023年度から「配属前研修」として金融リテラシー検定を採用しており、全新入行員が受験している。同検定採用当時、人事総務部長だった河野一郎さん。「新入行員への金融初歩の学習機会の提供が主眼だった」と導入の経緯を語ってくれた。「これから金融のプロとして働く新入行員に、しっかりとした金融知識を身につけてほしかった」そうで、「金融のプロとして接してくれるお客さまに迷惑をかけるわけにはいきません。正しい金融知識を身につけるのは当然のことだと常々思っていたため、検定試験の採用については悩みませんでした」。 河野さんは、金融リテラシー検定対応テキスト『お金と暮らしのトリセツ』に目を通したところ、「この学びは銀行員としてだけではなく、一社会人としても最低限知っておくべき知識が盛り込まれている」と感じ、徐々に「全行職員に受験させてみては」と考えるようになったという。その根底には、福島銀行の経営理念にもある「お客さまのために」という想いがあった。その後、同行では非正規雇用の準社員を含む全行員(役員を除く)が、金融リテラシー検定を受験している。
 同検定の採用を決めた河野さんも率先垂範し、金融リテラシーについて学習した。その感想を「勉強してみると意外と知識が曖昧だったり、そのままお客さまへ伝えたくなるような解説もあったりして、知識をブラッシュアップする良い機会になりました」と語る。「準社員などは、全員が金融や経済の知識に長けているわけでもないため、社会保険料や税金、雇用保険などの分野では苦労した人も多かったのでは」と感じていたところ、実際に、「初めて知ることも多かった」などと話す準社員などの声も耳に届いていたそうだ。
 同行では全行員受験後まもなく、預金窓口を担当する準社員による好事例も誕生した。50歳代の女性準社員の方は、窓口に来たお客さまとの何気ない会話で、検定試験で学んだ教育資金の話題を切り出してみた。すると、実際にお客さまが教育資金に悩んでいる事実が判明。準社員はそのまま教育ローンの部署につなぎ、見事融資成約に至ったという。準社員は、普段から預金や資産運用などの案内は積極的に行っていたそうだが、検定試験で身につけた新しい知識が功を奏した事例ともいえる。
 「各行員が自己研鑽に励む中で、最低限知っておくべき知識として共通理解を示す基準となるものが今までなく、金融リテラシー(検定)は今後も重要になってくると思います」。続けて、「今回の受験で各行員にそれぞれの学びがあったと思います。繰り返しますが『お客さまのために』われわれ福島銀行として何ができるか。この点について行員とともに考えていきたいと思います」と語る。今後も継続して内定者や新入行員を対象に金融リテラシー検定を学習・受験してもらうことで、地域の金融リテラシー向上を目標に掲げている。

(2024年10月現在)

 

ダイドーグループホールディングス株式会社
コーポレートコミュニケーション部 菊地 章さん

 

企業活用事例

 ※ダイドーグループホールディングス株式会社:清涼飲料水の販売を行うダイドードリンコ株式会社の持株会社。

 

ダイドーグループでは、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」というグループ理念を掲げている。当社コーポレートコミュニケーション部マネージャーの菊地章さんは「チャレンジすることの重要性がうたわれ、社員自ら新しいことにチャレンジしていく企業風土になってきている」と話す。 会社での取組みの一環として「金融リテラシー検定」が導入されたが、そのきっかけは菊地さんの思いや行動によるものだった。菊地さんは業務でSDGsの推進活動などに携わっているほか、自身が元々2級ファイナンシャル・プランニング技能検定に合格しており、金融知識を身に付けることの必要性を強く感じていたことから、「知識の習得は、社員自らのスキルアップだけでなく、それぞれの人生設計の後押しにもつながるのではないか」と考えていた。
 「金融リテラシー検定」の存在を知った菊地さんは、社員に金融の知識を身に付けてほしいと考え、当初は営業部門の社員を対象に有志の受験希望者を募った。すると、若手から役職定年を迎える社員に至るまで、50名以上の申し込みがあった。今回、有志で受験者を募ったにもかかわらず多くの申し込みがあったのは、「金融を含め、さまざまな知識を身に付けることが、営業面で有益であると考える社員が多かったからではないか」と菊地さんは振り返る。続けて、金融リテラシー検定の受験の取り組みに関して、今後はグループ内での横展開も検討したいと語った。
 菊地さんは、自社の営業のスタイルに関して、「以前は『自動販売機に関する提案の場合、テーマを自動販売機に限定して話をする』のが一般的だったが、近年はそれだけでは不十分になってきている」と感じており、社員一人一人がスキルアップすることで、多様な切り口でのアプローチや提案ができるようになったり、話に深みが出るようになったりと、営業手法の差別化につながるのではないかと考えている。
 菊地さんはこれまで「SDGsの考え方を浸透させていく」ことと、「その先の行動にどう移していくか」を重点的に考えてきた。その中で、積極的に周りの人を巻き込んでいくことの大切さを痛感しており、金融リテラシー検定の受験に関しても、まず周囲の人へ広げていき、徐々にグループ内で普及させたいと考えていると語った。

(2024年10月現在)