新聞の盲点

一般社団法人金融財政事情研究会創立と同時に創刊された、金融の専門週刊誌『週刊 金融財政事情』に掲載のある記事になります。

2019.07.16

老後資金問題の影響軽微もサプライズが目立った金融庁人事

6月16日には早々と財務省幹部人事の“新聞辞令”が行われたが、金融庁長官の留任報道は正式発表直前の7月に入る日までずれ込んだ。それまで老後資金問題の影響を推し量り、虚実入り乱れた憶測が飛び交っていたためだろう。サプライズだったのは、財務省大臣官房秘書課長から監督局審議官に就任した伊藤豊氏、そして監督局総務課長から総合政策局審議官へと“2階級特進”を果たした堀本善雄氏。ほかにも総務課長以上で入れ替わりの激しい大幅な人事異動となった。

詳細を見る

2019.07.08

玉虫色のG20首脳宣言、貿易問題は引き続き世界に暗い影

6月末、日本が初めて議長国を務めた主要20カ国・地域首脳会合(G20大阪サミット)と、世界が固唾をのんで見守った米中の首脳会談は「貿易」が最大のテーマとなった。いずれも最悪の結末は避けられたとはいえ、貿易戦争の終結には程遠い。米中間の橋渡し役を期待されたサミット議長の安倍晋三首相も、玉虫色の首脳宣言で対立を覆い隠すのが精いっぱい。主要リーダーが集った「大阪夏の陣」で決着はつかず、貿易問題は引き続き世界経済に暗い影を落としている。

詳細を見る

2019.07.01

世界中で金利が低下、日銀も金融機関も窮地を凌げるか

景気の減速懸念が強まるなか、世界の金利が低下圧力にさらされている。市場は年内3回の米利下げを織り込み、欧州でもECB(欧州中央銀行)がマイナス金利の深掘りを辞さない構えを見せている。円債金利もイールドカーブ・コントロール導入前の水準まで低下した。市場では、プラス金利の投資商品に群がる「利回り狩り」が活発化し、金利低下に拍車を掛けている。金融機関は有価証券運用のかじ取りがより難しくなり、次の一手が見当たらない日銀も難局を迎えた。

詳細を見る

2019.06.17

銀行系QRコード決済は「Jデビット」の二の舞いか

昨年来、ペイペイやLINEペイが利用者への大規模な還元キャンペーンに乗り出している。20年春には楽天ペイアプリにスイカが搭載されてチャージもできるようになるなど、QRコード決済の覇権争いが混沌としてきた。一方、銀行が主導するQRコード決済も相次いで提供されており、群雄割拠の様相を呈している。ただ、銀行系はネット大手のような大々的なキャンペーンを打ち出していないため、どこまで支持されるのかは不透明。はたして銀行系に活路はあるのか。

詳細を見る

2019.06.03

SBGのヤフー孫会社化で問われる親子上場のガバナンス

ソフトバンクグループ(SBG)傘下の通信事業会社ソフトバンクは5月8日、同じくSBG傘下のヤフーを連結子会社にすると発表した。これまで3社は親・兄弟関係での上場だったが、今後は「親・子・孫」での上場になる。親子上場を巡っては、子会社が親会社の利益を優先することで、一般株主(少数株主)との間で利益相反になるリスクが指摘されてきた。今回のスキームもSBGの資金調達という思惑が見え隠れする。子会社の少数株主を守る仕組みづくりが問われている。

詳細を見る

2019.05.21

銀行の横並び体質をも崩しうる情報利活用業務

金融庁が3月15日に通常国会に提出した関連法案で、銀行の業務範囲規制の見直しが手当てされた。そこでは、銀行本体の付随業務として「情報の利活用」に関する業務が追加されている。法案について報じるマスコミ記事では、仮想通貨の名称を「暗号資産」と改める内容に注目が集まり、この規制緩和については極めて控えめな扱いだった。だが、銀行がデータビジネスに正面から参入できるようになることで、銀行業のあり方を変えるインパクトがあるとも評されている。

詳細を見る

2019.05.13

金融庁の「能力主義」が際立つ霞が関の中途採用事情

霞が関の各省庁が20代を中心とした中途採用に取り組んでいる。幅広い視野を持った人材を取り入れることで、行政の質を高めていく狙いがある。ただし、採用者数はわずかで、その効果も限定的だ。こうしたなか、中途採用者を積極的に幹部に登用している金融庁の「能力主義」の事例が、中途採用のモデルケースとして注目されている。実は、日本のようにプロパー職員が行政当局の次官になる例は、世界ではあまり見られない。霞が関の中途採用はどこまで広がるのか。

詳細を見る

2019.05.07

利用者保護が課題になるペイロールカードへの給与支払い解禁

日本でも資金移動業者が発行するペイロールカードへの給与支払いの解禁が現実味を帯びている。外国人労働者の利便性向上やキャッシュレス推進の観点から、厚生労働省を中心に早期の制度改正に向けた検討が進められている。ただ、資金移動業者には銀行のような厳格な規制が設けられていないので、「生活の糧」である給与を守るための利用者保護の枠組みづくりが重要な論点となる。また、制度改正に向けて、資金移動業者の監督を行う金融庁との調整も課題になっている。

詳細を見る

2019.04.22

間もなく世界を揺るがすLIBOR消滅問題

貸出や有価証券、デリバティブまで、あらゆる金融取引のベース金利になっている「LIBOR」。この世界共通の金利指標が2021年末に消滅する見通しになっている。当然、インパクトは絶大だ。各国は後継金利指標の開発に取り組むが、わずか3年弱で信頼できる指標に育つのか。21年末をまたぐ契約変更、後継金利指標をベースとしたシステム改修、市場リスク管理など、金融機関が数々の難題に直面するのは必至。市場のボラティリティーが高まることも危惧されている。

詳細を見る

2019.04.15

「持続可能性」の先送りを許さない早期警戒制度の見直し

金融庁は4月3日、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の改正案を公表した。「早期警戒制度」を見直し、将来の収益性と健全性をモニタリングする。地域金融機関は金融庁が唱えてきた「持続可能なビジネスモデル」という宿題の答えを迫られ、落第すれば業務改善命令が下される。今後は持続可能性という課題の先送りが許されなくなるが、ビジネスモデルのひな型があるわけではない。早期警戒制度見直しにより、地域金融機関も金融庁も新たな局面に足を踏み入れる。

詳細を見る

2019.04.08

相次ぐ銀行の業績下方修正、有価証券の益出しも限界に

銀行の業績予想の下方修正が相次いでいる。3月6日に通期の純利益予想を5,700億円から800億に引き下げたみずほフィナンシャルグループに続き、あおぞら銀行も3月22日、業績予想および配当予想を下方修正した。これをきっかけに、同行の株価は大幅下落。想定以上の減配が重しになった。益出しの余力も尽きかけており、地銀でも業績予想の下方修正が目立つ。従来の利益水準確保が難しくなるなか、経営の長期的な道筋を示すことが重要になっている。

詳細を見る

2019.04.01

消費税ポイント還元に翻弄される決済事業者の悩み

10月1日の消費税率引上げと同時にスタートする「ポイント還元事業」。増税に伴う消費の落ち込みを食い止め、さらにキャッシュレス決済手段を推進させるという二つの目的を目指す施策だ。来年6月までの時限措置で、今年度分の予算規模は2,798億円。来年度分も含めると予算はさらに膨れ上がる。事業開始までの準備期間が少ないことから、キャッシュレス決済事業者は突貫工事の作業に追われ、いくつもの悩ましい問題も浮上している。

詳細を見る

2019.03.26

三菱UFJがメス、崩れ始めた指定金融機関の手数料慣行

三菱UFJ銀行が一部地方公共団体の指定金融機関(指定金)を辞退する動きなどを受けて、これまで無料または低廉だった指定金業務の手数料体系を見直す機運が高まっている。三菱UFJ銀行が指定金を辞退するのは、関西を中心とする約10の地公体。手数料の値上げ要請に応じてもらえなかったためだ。この動きを契機に、他行も手数料交渉に乗り出している。長年の慣行で不採算となっていた指定金業務の手数料体系。ついに打破できる兆しが見え始めた。

詳細を見る

2019.03.18

「負の遺産」処理でがぜん注目されるみずほFGの新中計

みずほフィナンシャルグループ(FG)は3月6日、約6,800億円に上る一過性の損失を計上し、2019年3月期の当期純利益予想を5,700億円から800億円に引き下げると公表した。中期経営計画をスタートさせる来期以降のコスト負担を軽減し、今後の成長戦略を描きやすくする狙いだ。ただ、低金利環境の中で稼ぐ力は低下しており、これまでの延長線上の戦略では反転攻勢は望めない。みずほFGは今後、どういった分野に活路を求めていくのか。

詳細を見る

2019.03.11

選挙イヤーに発足した自民党「地域金融PT」の腹積もり

2月19日、金融関連の政策を議論する自民党の金融調査会に「地域金融経営力強化PT」が発足した。地域金融機関が厳しい収益環境に置かれているなか、経営力の強化に資する政策を議論することが目的だ。「業務範囲規制の緩和」や「競争政策のあり方」などが主要議題になる。ただ、今年は統一地方選と参院選が重なる選挙イヤー。選挙を意識した中小企業施策なども議題に上る可能性があり、地域金融機関にも影響を及ぼす政策が急浮上する展開もありそうだ。

詳細を見る

2019.03.06

地域商社や事業承継にまで広がる銀行の5%超出資

日銀の異次元緩和策によって金融機関の本業が打撃を受ける一方で、収益基盤の拡大につながる出資上限の緩和が進んでいる。2017年には銀行業高度化等会社という概念が導入され、IT会社などへの5%超出資が認められるようになっており、北國銀行は4月にECモールを開業する。金融庁はその延長線上で地域商社への5%超出資についても検討を始めており、金融機関の期待が高まっている。そして、事業再生・事業承継の場面での出資緩和も実現に向けて動き出した。

詳細を見る

2019.02.26

行き詰まる農林中金の運用モデル、CLOで活路を見いだせるか

農林中央金庫の運用モデルが試練の時を迎えている。ドル調達コストの高まりに加え、農協・信連への預金利息の上乗せ金利である「奨励金」が収益を圧迫する。こうしたなか、クレジットリスクを果敢に取る戦略で活路を見いだそうとしており、昨年度末比3兆円増という勢いでローン担保証券(CLO)に投資している。だが、市場が動揺したら痛手を負いかねない。市場のボラティリティーがたびたび高まるなか、名うての機関投資家・農林中金の実力が試されている。

詳細を見る

2019.02.12

大穴候補が巻き返し、三つの座を巡るIR椅子取り合戦

2024年の開業を予定する統合型リゾート(IR)の誘致合戦が熱を帯びてきた。設置上限3区域を巡り、北海道、東京、横浜、大阪、長崎などが候補地として取り沙汰されるなか、先行するのが大阪市と苫小牧市だ。前者は万博開催決定でIRとの相乗効果を狙い、後者は道の有識者懇談会で優先候補地とされた。しかし、ここにきて“大穴”候補の巻き返しも目立つ。参院選・統一地方選が重なる選挙イヤーという政治動向も加わり、「IR椅子取り合戦」は混沌としてきた。

詳細を見る

2019.02.04

まもなく決着へ、大詰めを迎えたスルガ銀行のスポンサー探し

シェアハウス問題に揺れたスルガ銀行のスポンサー探しが大詰めを迎えている。2018年3月末に12.7%あった自己資本比率は同年9月末には8.6%にまで下がり、18年4~9月期の半年間で預金は6737億円も減少した。スルガ銀行が再出発するうえで、経営基盤の強化につながる支援を仰ぐことは喫緊の課題といえる。すでに買手候補の金融機関が本格的に財務デューデリジェンスを進めており、早ければ年度内にもスルガ銀行のスポンサー金融機関が判明しそうだ。

詳細を見る

2019.01.28

金融機関を悩ませる10連休対応

新天皇の即位に伴い、改元と10連休が予定されている。これまでにない大型連休となるため、金融機関においても利用者や取引先に不便が生じないよう万全の対応が求められる。改元への対応については軽微なシステム改修で済むほか、帳票類を旧元号のまま当面使用する措置を取ることで大きな混乱は生じないとみられている。問題は10連休への対応だ。連休前後にバッチ処理が集中するためシステム上のキャパシティオーバーが懸念されるほか、実務上の課題も散見される。

詳細を見る

2019.01.21

出口の見えない迷路をさまよう日銀のETF買入れ

金融緩和政策の一環でETFを買い入れている日銀が、日本の株式市場で最大株主になる日が近付いている。ただ、市場関係者の中には、「官製相場」への懸念や、企業の経営規律を弱めるといった弊害を危惧する向きもある。日銀のETF保有額はすでに約30兆円。いずれ売却しようにも、「完全売却まで100年はかかる」と指摘されている。加えて、景気下振れリスクが高まるなか、そもそも買入れを打ち切る出口にすら立てないおそれも浮上している。

詳細を見る

2019.01.16

キャッシュレス推進へ課題を投げかけたペイペイの不正利用

10月の消費増税に伴う経済対策としてキャッシュレス決済利用時のポイント還元が打ち出されるなど、国を挙げたキャッシュレス推進が本格化している。昨年は新たなQRコード決済が続々と登場。なかでも脚光を浴びたのが大規模キャンペーンを展開したペイペイだ。だが、キャンペーン期間中に不正利用が多発し、セキュリティー対策の課題を浮き彫りにした。キャッシュレス決済の普及に向けて、利用者が安全にサービスを利用できる環境整備が求められている。

詳細を見る

2019.01.08

悪質クラウドファンディングをのさばらせたのは「誰」か

銀行を介さずネット経由で資金を募り、個人・法人に貸し出す「貸付型クラウドファンディング」への行政処分が相次いでいる。その背景には、貸金業法と金商法の「相克」が制度上の抜け穴を作っているためとの指摘が従前からなされてきた。にもかかわらず規制当局である金融庁の動きは鈍く、ついには証券取引等監視委員会から4年ぶりの「建議」まで飛び出した。事態が深刻化する中で金融庁も重い腰を上げつつあるが、なぜこのような事態に陥ったのか。

詳細を見る

2018.12.18

買取価格の引下げ回避も、先行き不透明な「太陽光向け融資」

太陽光発電事業向け融資(太陽光向け融資)に暗雲が立ち込めた。経済産業省が10月中旬、太陽光の買取価格を引き下げる制度の見直しに動いたことで、貸倒れにつながる懸念が高まったのだ。事業者の猛反発や自民党議連からの要請を受けて経産省が見直しを修正し、結果的には杞憂に終わったが、ふたたび買取価格の引下げ気運が高まる可能性がある。小規模事業者を中心に倒産も増えつつあり、太陽光向け融資の推進に取り組んできた金融機関には戦略の変更が求められそうだ。

詳細を見る

2018.12.10

広がる波紋! 違法の疑いが残る取引金融機関への税務調査

「失礼します。○○税務署から来ました」。そう声を掛けられ、支店奥の別室に通した経験を持つ金融機関職員は少なくないはずだ。税務調査、より正確に言うと、質問検査権の行使の一環で納税義務者の取引先や取引金融機関に対して、帳簿書類などの検査や当該物件の提出を求める反面調査である。この調査の妥当性が争点となった裁判の控訴審判決が11月7日、大阪高裁であり、裁判長が「違法の疑いが残る」と判示したことから、金融法務関係者の間で波紋が広がっている。

詳細を見る

2018.12.03

急上昇するドル調達コスト、邦銀は難局をどう凌ぐのか

ドル調達コストの上昇が日本の金融機関を苦しめている。今年度の中間期決算で前年同期比2割の減益となった農林中央金庫は、その主因として高まるドル調達コストを挙げる。海外融資を増やしてきた大手行にとっても、ドル調達のコスト増は大きな痛手だ。調達コストは今後も上昇すると見る向きが強く、カバードボンドの発行など調達手段の多様化に乗り出す動きも見られる。ドル建て資産を持つ金融機関では、調達手段の安定化や多様化に向けた取組みが求められている。

詳細を見る

2018.11.26

全銀協で議論大詰め、手形・小切手の完全電子化への論点

未来投資戦略に盛り込まれて検討が始まった「手形・小切手機能の電子化」。全銀協の検討会は12月の最終報告の取りまとめに向けて詰めの作業を進めている。手形・小切手の利用は大きく減少しており、完全に電子化されれば大きなコスト削減効果が図られる。ただ、業界の商習慣などから電子化への移行に抵抗を感じる利用者も少なくない。完全電子化の実現にあたっては、電子記録債権等の利便性向上や金融機関による導入支援・周知強化の取組みが重要になる。

詳細を見る

2018.11.21

不動産仲介を巡る10 年戦争、地銀は岩盤を打ち崩せるか

全国地方銀行協会は2018年度の規制改革要望で、例年同様、不動産仲介業務の解禁を求めた。地銀協がこの要望を初めて出したのは2005年。以来、継続的に要望してきたが、大きな成果もなく退けられてきた。地銀協は、事業承継や相続に関連する不動産仲介ニーズが増しており、地銀が不動産仲介を手掛けられれば地方創生にも資すると主張する。ただし、解禁に対して不動産業界などは猛反発している。はたして岩盤規制は崩れるのか、地銀の期待が高まっている。

詳細を見る

2018.11.12

東京の国際化構想が楔を打ち込んだ投信業界の二重計算問題

毎日算出される投資信託の基準価額。1951年の投信法制定以来、委託会社と受託銀行双方が計算を行い、結果を照合する「二重計算」を行っている。しかし、この業界慣行が、外資系運用会社の日本参入を阻む障壁となっているのではないかという指摘がある。東京都が「国際金融都市・東京」構想を推進する中で、投信の二重計算は国際化を目指す東京をガラパゴス化させる象徴なのか。いや、コトはそう単純ではなさそうだ。

詳細を見る

2018.11.06

加盟店手数料率の引下げ要請、不透明な実効性ともう一つの狙い

来年10月に8%から10%への引上げが予定されている消費増税。政府はその景気対策としてキャッシュレス決済時のポイント還元を検討しているが、関連して中小の店舗におけるクレジットカードの加盟店手数料率の引下げを求める構えだ。ただ、加盟店手数料率を引き下げたからといって、中小の店舗でクレジットカード決済が普及するのかは不透明。カード各社の収益基盤も揺るがしかねない。その実効性に疑問符が付くなか、政府には別の狙いがあるとの見方も浮上している

詳細を見る

2018.10.26

投資用不動産融資の金融庁調査、市場の警戒モードは杞憂か

金融庁が「投資用不動産向け融資」の一斉調査に着手する。10月中にも全国の金融機関に対してアンケート調査を開始し、年内に回収する。問題が認められる金融機関には立入検査も実施する方針だ。市場では、今回の一斉調査が「不動産市場全体にマイナスの影響を与えるのでは」との懸念が強まっている。新興不動産会社の倒産など不穏な動きが一部で見られるが、金融庁が過度な信用収縮は回避する慎重な姿勢を見せているため、こうした警戒は杞憂に終わりそうだ。

詳細を見る

2018.10.15

巨額流出だけでは終わらない、仮想通貨交換所Zaifを巡る霧

仮想通貨交換所Zaifを運営するテックビューロ(大阪市)は9月20日、不正アクセスにより、仮想通貨67億円相当(翌日70億円に修正)が流出したと発表した。コインチェック事件やマウントゴックス事件に次ぐ規模の被害額で、社会的な影響も大きい。しかし、同社は記者会見を開かず、本件に関する追加情報提供も十分なされていない。同社が以前に実施した109億円のICO調達資金の現状も判然とせず、フィスコグループによる55億円の買収資金額にも疑問符が付く。

詳細を見る

2018.10.10

産業革新投資機構が船出、悩ましい二律背反の舵取り

産業革新投資機構(JIC)が9月25日、旧産業革新機構を改組して発足した。旧機構については大企業の救済のために利用されてきたとの批判があったことから、JICは政府の影響力を排除する仕組みを整える。それがうまく機能するかは田中正明社長をはじめとする経営陣の手腕しだいだ。他方で、官民ファンドの赤字を問題視する向きもある。JICはリターンの最大化を掲げるが、利益確保を重視すれば民間でも対応可能な分野での民業圧迫が疑われかねない。

詳細を見る

2018.10.01

景気最優先で積極財政へ、アベノミクス最後の戦い

安倍晋三首相は自民党総裁選で石破茂元幹事長を破り、3選を果たした。ただ、石破氏の思わぬ善戦は自民党員にも「安倍一強」への反発が広がっていることを浮き彫りにし、首相の求心力にも影が差す。危機感を強めた安倍首相は来年の参院選や消費税増税を乗り切り、悲願の憲法改正に必要な内閣支持率を上昇させるため、当面は積極財政による景気浮揚を目指す。一方、待ったなしといわれて久しい財政再建や社会保障改革への本格着手は先送りが濃厚だ。

詳細を見る

2018.09.24

再編期待で一段の上昇が予期される地銀の外国人株主比率

上場地銀の外国人株主比率がジワジワと上昇している。PBRで見て「割安」なうえ、株主還元を要求しやすく、再編でエグジットストーリーも描きやすいことなどが背景にある。地銀の主要株主となった海外機関投資家は株主還元要求を強めており、地銀の中には有価証券の益出しによって配当原資を捻出する動きもある。日銀はこうした状況を「地銀のストレス耐性の脆弱化につながる」と憂慮するが、再編期待から外国人株主比率が一段と高まることも予期されている。

詳細を見る

2018.09.19

銀行第一課長が財務官への登竜門!?

今年は7月17日に幹部の定例人事異動を行った金融庁。3年間続投した森信親長官が退任し、新長官に遠藤俊英監督局長が昇格した。監督局長には、遠藤氏の右腕だった栗田照久参事官(監督局担当)が抜てきされた。主要行を監督する銀行第一課長には、柳瀬護財務省大臣官房参事官が就任。柳瀬氏は財務省の「国際畑エース」との呼び声が高かった人物で、財務省から銀行第一課長に直接就任する人事は前例がない。今回のキャリアパスには「ロールモデル」がありそうだ。

詳細を見る

2018.09.10

売手・買手の思惑一致で加速する「仮想通貨交換業者」のM&A

1月に起きたコインチェックの巨額流出事件以降、度重なる行政処分やみなし仮想通貨交換業者の撤退など、激震が続く仮想通貨業界。そんななか、大手のIT企業が仮想通貨交換業者を飲み込むM&Aが相次いでいる。金融庁の新規登録審査が格段に厳しくなり、規制強化も見通される中で、早期に参入したい大手資本と、早く身売りしたい仮想通貨交換業者の思惑が一致しているためだ。すでに全みなし業者が大手資本に飲み込まれており、登録業者の争奪戦も熱を帯びている。

詳細を見る

2018.09.04

「岡野城」が遂に開城、スルガ銀行改革の本丸とは

スルガ銀行のシェアハウス関連融資に端を発する不祥事の全貌が見えてきた。審査資料改竄などによる不適切融資の手法は不動産案件全般に及ぶとされ、第三者委員会の報告を踏まえて金融庁の重い処分が予想される。そうしたなか、スルガ銀行では行政処分に先んじて自ら「患部」をあぶり出そうという動きが出ている。融資手法やコンプラ体制ではなく、「企業文化」を改革する動きだ。不祥事の温床となったスルガ銀行の文化はどのようにして醸成され、何を改革すべきなのか。

詳細を見る

2018.08.27

遠藤新体制の金融庁、始動1カ月で見えてきた姿

3年ぶりの長官交代、大規模な組織再編も実施(いずれも7月17日)されるなど、文字どおり新体制となった金融庁。遠藤俊英新長官のもと1カ月余りが経過したが、早くも金融業界に強い印象を与えているのが総合政策局の際立つ存在感だ。一方、これまで中核的な存在だった監督局の影は薄く、さらには全国の財務局の権限が強化され、その役割が大きくなりつつある。遠藤体制が始動して1カ月。従来以上にオン・オフ一体の組織運営を目指すはずの金融庁に何が起きているのか。

詳細を見る

2018.08.21

絶妙な政策修正の陰で限界も露呈した日銀の決定会合

日本銀行は7月30、31日に金融政策決定会合を開き、「ゼロ%程度」とする長期金利誘導目標の許容変動幅を従来の±0.1%から±0.2%程度に広げることを決めた。「国債市場の機能低下」という金融緩和の副作用が顕在化していることが背景にある。金融緩和に邁進するポーズをとりながら、事実上の緩和縮小となる今回の政策修正は絶妙な一手といえる。これで当座はしのげると見られるが、ふたたび副作用が増幅する局面での次なる政策修正の一手は限られる。

詳細を見る

2018.08.10

日銀のずさん統計で剥げ落ちた投信神話の虚像

日銀統計の修正によって、政府が推奨してきた代表的運用商品である「投資信託」の家計保有額が、足もと約33兆円も過大であったことが判明した。また、順調に増加していたはずの同保有額が、実際は減っていたこともわかった。近年、NISAなどの投資優遇制度で個人の資産形成を促してきたが、その成果がいっこうに上がっていなかったことになる。“まさかの事実”が明らかになり、「貯蓄から資産形成へ」を政策として進めてきた関係者に衝撃が広がっている。

詳細を見る

2018.07.30

「不明瞭な」手数料徴求は東日本銀行だけか

金融庁から不適切融資などを指摘されて業務改善命令を受けた東日本銀行。処分の理由に「不明瞭な手数料徴求」が含まれているが、この点に疑問の声が上がり始めている。預貸利ザヤが低迷する中、手数料ビジネスを強化している金融機関は多く、他行でも多様な名目で手数料を取っている。処分に裁量的な要素があれば、他行の収益構造改革に水を差しかねない。さらに、金融機関で不祥事が相次いで発覚していることから、金融検査のあり方にも疑問の目が向けられている。

詳細を見る

2018.07.23

金商法の適用まで浮上した仮想通貨を巡る規制の行方

ずさんな管理態勢が明らかとなった仮想通貨業界。決済手段としての普及を見込んでいた当初の想定と異なり、仮想通貨が「投機」の手段として根づき出しているため、その制度的対応も焦眉の急となっている。一部メディアで「金商法の適用を検討」と報じられているが、法改正には相応の時間を要するため、まずは自主規制での対応が求められる。ただ、仮想通貨の性質や技術のさらなる進展を見込むと、金商法の適用を含むその後の制度的な見直しは一筋縄ではいかなそうだ。

詳細を見る

2018.07.18

トラブルの火種!? 安易な「民事信託」にご用心

超高齢社会の到来により、高齢者の財産管理が社会的な課題になっている。その有効な方策の一つが「成年後見制度」だが、利便性を欠く面もあって普及率は必ずしも高くない。そこで期待が集まっているのが「民事信託」だ。金融機関にとっては、収益物件の建設による財産の積極的な活用を通じて融資につながる可能性もある。ただ、士業などの専門家の取組みも成熟していないことから、野放図な対応では将来的なトラブルを抱え込むことにもなりかねない。

詳細を見る

2018.07.10

コポガバコードの「番人」に名乗りを上げるアクティビスト

物言う株主「アクティビスト」の活動が注目されている。ROEが低くて政策保有株や現預金を多く保有する企業に投資して、政策保有株の売却や増配を求める株主提案で揺さぶりをかける。ただし、アクティビストをかつてのように「短期的な利益追求の株主」と見る風潮は弱まっている。企業価値の向上を目指す「二つのコード」のもと、政策保有株の売却といった提案は機関投資家からも賛同を得やすくなっており、コポガバコードの「番人」のような存在にもなりつつある。

詳細を見る

2018.06.25

店舗の減損処理が突きつける銀行ビジネスの変革

前年度決算で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が店舗の減損処理に伴う多額の損失を計上したことが波紋を広げている。今後、他行でも店舗の収益性低下に伴う減損処理が課題になる可能性は高い。もっとも、デジタル化の進展によって銀行のビジネスがよりモバイルの領域へと突き進んでいけば、店舗の資産価値のとらえ方も変わらざるをえない。店舗の減損処理を巡る議論は、店舗を保有して収益を上げてきた“旧来産業”からの転換を突きつけているようだ。

詳細を見る