新聞の盲点

一般社団法人金融財政事情研究会創立と同時に創刊された、金融の専門週刊誌『週刊 金融財政事情』に掲載のある記事になります。

2018.09.19

銀行第一課長が財務官への登竜門!?

今年は7月17日に幹部の定例人事異動を行った金融庁。3年間続投した森信親長官が退任し、新長官に遠藤俊英監督局長が昇格した。監督局長には、遠藤氏の右腕だった栗田照久参事官(監督局担当)が抜てきされた。主要行を監督する銀行第一課長には、柳瀬護財務省大臣官房参事官が就任。柳瀬氏は財務省の「国際畑エース」との呼び声が高かった人物で、財務省から銀行第一課長に直接就任する人事は前例がない。今回のキャリアパスには「ロールモデル」がありそうだ。

詳細を見る

2018.09.10

売手・買手の思惑一致で加速する「仮想通貨交換業者」のM&A

1月に起きたコインチェックの巨額流出事件以降、度重なる行政処分やみなし仮想通貨交換業者の撤退など、激震が続く仮想通貨業界。そんななか、大手のIT企業が仮想通貨交換業者を飲み込むM&Aが相次いでいる。金融庁の新規登録審査が格段に厳しくなり、規制強化も見通される中で、早期に参入したい大手資本と、早く身売りしたい仮想通貨交換業者の思惑が一致しているためだ。すでに全みなし業者が大手資本に飲み込まれており、登録業者の争奪戦も熱を帯びている。

詳細を見る

2018.09.04

「岡野城」が遂に開城、スルガ銀行改革の本丸とは

スルガ銀行のシェアハウス関連融資に端を発する不祥事の全貌が見えてきた。審査資料改竄などによる不適切融資の手法は不動産案件全般に及ぶとされ、第三者委員会の報告を踏まえて金融庁の重い処分が予想される。そうしたなか、スルガ銀行では行政処分に先んじて自ら「患部」をあぶり出そうという動きが出ている。融資手法やコンプラ体制ではなく、「企業文化」を改革する動きだ。不祥事の温床となったスルガ銀行の文化はどのようにして醸成され、何を改革すべきなのか。

詳細を見る

2018.08.27

遠藤新体制の金融庁、始動1カ月で見えてきた姿

3年ぶりの長官交代、大規模な組織再編も実施(いずれも7月17日)されるなど、文字どおり新体制となった金融庁。遠藤俊英新長官のもと1カ月余りが経過したが、早くも金融業界に強い印象を与えているのが総合政策局の際立つ存在感だ。一方、これまで中核的な存在だった監督局の影は薄く、さらには全国の財務局の権限が強化され、その役割が大きくなりつつある。遠藤体制が始動して1カ月。従来以上にオン・オフ一体の組織運営を目指すはずの金融庁に何が起きているのか。

詳細を見る

2018.08.21

絶妙な政策修正の陰で限界も露呈した日銀の決定会合

日本銀行は7月30、31日に金融政策決定会合を開き、「ゼロ%程度」とする長期金利誘導目標の許容変動幅を従来の±0.1%から±0.2%程度に広げることを決めた。「国債市場の機能低下」という金融緩和の副作用が顕在化していることが背景にある。金融緩和に邁進するポーズをとりながら、事実上の緩和縮小となる今回の政策修正は絶妙な一手といえる。これで当座はしのげると見られるが、ふたたび副作用が増幅する局面での次なる政策修正の一手は限られる。

詳細を見る

2018.08.10

日銀のずさん統計で剥げ落ちた投信神話の虚像

日銀統計の修正によって、政府が推奨してきた代表的運用商品である「投資信託」の家計保有額が、足もと約33兆円も過大であったことが判明した。また、順調に増加していたはずの同保有額が、実際は減っていたこともわかった。近年、NISAなどの投資優遇制度で個人の資産形成を促してきたが、その成果がいっこうに上がっていなかったことになる。“まさかの事実”が明らかになり、「貯蓄から資産形成へ」を政策として進めてきた関係者に衝撃が広がっている。

詳細を見る

2018.07.30

「不明瞭な」手数料徴求は東日本銀行だけか

金融庁から不適切融資などを指摘されて業務改善命令を受けた東日本銀行。処分の理由に「不明瞭な手数料徴求」が含まれているが、この点に疑問の声が上がり始めている。預貸利ザヤが低迷する中、手数料ビジネスを強化している金融機関は多く、他行でも多様な名目で手数料を取っている。処分に裁量的な要素があれば、他行の収益構造改革に水を差しかねない。さらに、金融機関で不祥事が相次いで発覚していることから、金融検査のあり方にも疑問の目が向けられている。

詳細を見る

2018.07.23

金商法の適用まで浮上した仮想通貨を巡る規制の行方

ずさんな管理態勢が明らかとなった仮想通貨業界。決済手段としての普及を見込んでいた当初の想定と異なり、仮想通貨が「投機」の手段として根づき出しているため、その制度的対応も焦眉の急となっている。一部メディアで「金商法の適用を検討」と報じられているが、法改正には相応の時間を要するため、まずは自主規制での対応が求められる。ただ、仮想通貨の性質や技術のさらなる進展を見込むと、金商法の適用を含むその後の制度的な見直しは一筋縄ではいかなそうだ。

詳細を見る

2018.07.18

トラブルの火種!? 安易な「民事信託」にご用心

超高齢社会の到来により、高齢者の財産管理が社会的な課題になっている。その有効な方策の一つが「成年後見制度」だが、利便性を欠く面もあって普及率は必ずしも高くない。そこで期待が集まっているのが「民事信託」だ。金融機関にとっては、収益物件の建設による財産の積極的な活用を通じて融資につながる可能性もある。ただ、士業などの専門家の取組みも成熟していないことから、野放図な対応では将来的なトラブルを抱え込むことにもなりかねない。

詳細を見る

2018.07.10

コポガバコードの「番人」に名乗りを上げるアクティビスト

物言う株主「アクティビスト」の活動が注目されている。ROEが低くて政策保有株や現預金を多く保有する企業に投資して、政策保有株の売却や増配を求める株主提案で揺さぶりをかける。ただし、アクティビストをかつてのように「短期的な利益追求の株主」と見る風潮は弱まっている。企業価値の向上を目指す「二つのコード」のもと、政策保有株の売却といった提案は機関投資家からも賛同を得やすくなっており、コポガバコードの「番人」のような存在にもなりつつある。

詳細を見る

2018.06.25

店舗の減損処理が突きつける銀行ビジネスの変革

前年度決算で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が店舗の減損処理に伴う多額の損失を計上したことが波紋を広げている。今後、他行でも店舗の収益性低下に伴う減損処理が課題になる可能性は高い。もっとも、デジタル化の進展によって銀行のビジネスがよりモバイルの領域へと突き進んでいけば、店舗の資産価値のとらえ方も変わらざるをえない。店舗の減損処理を巡る議論は、店舗を保有して収益を上げてきた“旧来産業”からの転換を突きつけているようだ。

詳細を見る

2018.06.22

上場企業の欧州IRに異変、震源はMiFIDⅡ

決算発表シーズンが大詰めを迎え、その後のIRスケジュールも本格化する中、上場企業の欧州IRに異変が起きている。今年1月に欧州で施行されたMiFIDⅡのもと、「欧州IRの出張アポイントが入らない」といった企業が増加しているのだ。背景には、発行体企業のIRアレンジを担ってきた証券会社の選別があり、国内証券を含む「リージョナルブローカー外し」の実態がうかがえる。国内証券の業績への影響も懸念される中、形勢を逆転できる一手はあるのか。

詳細を見る

2018.01.29

生保協がルール改正、生保と乗合代理店の慣れ合いにメス

生命保険協会は昨年12月13日に、「保険募集人の体制整備に関するガイドライン」を改正した。今回の改正は、生命保険会社が乗合代理店に支払ってきた過度な「上乗せ報酬」の透明化を狙ったものだ。そもそも上乗せ報酬は、間接的に顧客が負担していると言える。今回のガイドライン改正により、上乗せ報酬が発生する保険商品を顧客に勧める場合には、保険を販売することで上乗せ報酬が乗合代理店側に供与されることをわかりやすく説明することが求められる。

詳細を見る

2017.11.06

不正融資の全貌解明でも見通せない商工中金の「あり方」

商工組合中央金庫(商工中金)は10月25日、危機対応融資を巡る不正に関して関係省庁に調査報告書を提出したうえで2度目となる業務改善命令を受け、業務の改善計画を公表した。経済産業省も自身の監督責任を実質的に認めたうえで、「商工中金の在り方検討会」において聖域なく議論を行っていくとしている。一方、低利融資を受けている企業と商工中金との取引関係は依然として強固ともいわれ、不正の全貌が解明されてもなお、同金庫の今後のあるべき姿は見通しづらい。

詳細を見る

2017.10.09

「赤字目前」で転換期を迎える邦銀リテールビジネス

銀行の国内リテールビジネスが大きな転換期を迎えている。収益を牽引してきた銀行カードローンが頭打ちとなり、住宅ローンや投信・保険販売も収益性が悪化したことで、「リテール部門の赤字化が数年内に迫っている」(銀行アナリスト)との見方もある。こうしたなか大手行では、フィンテックを活用して事務コストの削減に乗り出しているほか、地方や不採算店舗を削減する動きも出始めている。マイナス金利政策が長期化しそうななか、抜本的な経費構造改革が進んでいる。

詳細を見る

2017.09.11

金融庁「検査局」廃止へ、新たな検査手法の展望と課題

金融庁は8月31日、2018年度の機構・定員・予算要求を発表し、年明け以降報じられてきた組織再編の全貌を公表した。検査局を廃止し、その機能の大部分を監督局に統合するほか、現在の3局体制を「企画市場局」「総合政策局」「監督局」に整理・再編することが柱。金融検査マニュアルの廃止についても基本的な考え方が近く発表される。一連の金融行政改革は総仕上げの段階にきたが、金融検査などの実態面が理想とする姿にどこまで追いつけるのかが今後の焦点となる。

詳細を見る

2017.08.07

FFGと十八銀行の経営統合、無期延期で広がる不安

ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と十八銀行は7月25日、10月に予定していた経営統合について、期限を定めずに再延期することを表明した。難航している公正取引委員会の企業結合審査が終了し、クリアランスが出た段階であらためてスケジュールを公表する方針を明らかにすることで、腰を据えて交渉に臨む姿勢を打ち出したかたちだ。しかし、検討している問題解消措置で審査が進展する見通しは立たず、行員や顧客に不安が広がりかねない状況になっている。

詳細を見る

2017.07.14

財務省「円とアジア通貨の利便性向上策」に銀行界がため息

財務省が6月12日に提案した「円とアジア通貨の利便性向上策」に対して、金融界で疑問の声があがっている。今回の提案は、人口減少が進む日本が経済成長を果たしていくために「アジアに投資する」ことを主眼としたもので、「全銀システムの対外開放」「円とアジア通貨の直接交換市場創設」「東京市場での多通貨決済化」を柱とする。ただ、どこまでニーズがあるのか不透明なうえ、日銀の取組みと重なる面も大きく、コスト負担を恐れる銀行界からはため息が漏れる。

詳細を見る

2017.06.10

金融業界に予期せぬ波紋を広げるマイナンバー制度

昨年1月のマイナンバー制度導入で、金融機関には証券口座の番号取得が義務付けられた。ただし、15年12月末時点の既存口座には3年間の猶予期間があるため、金融機関は既存顧客に対してじっくり提供を促せると目論んでいた。だが、そこにNISAという思わぬ“伏兵”が現われた。今年9月末までに提供しないとNISA口座が使えなくなるおそれがあるというが、その取得状況は芳しくない。預貯金口座の番号取得も後に控えており、関係者の苦労はしばらく続きそうだ。

詳細を見る

2017.05.15

前代未聞! いまだ全体像を把握しきれない商工中金の不正融資

取引先の財務書類を改竄し、不正融資を組織的に行っていた商工組合中央金庫に5月9日、ついに業務改善命令が下された。4月25日に調査結果をとりまとめた第三者委員会によれば、現時点で把握できているだけで35支店99人が不正に関与しているという。しかも、コンプライアンス担当部署が不正を把握していたにもかかわらず、揉み消していた所業まで明らかになった。完了している調査は全体の十数%にすぎず、不正融資の件数・金額はさらに拡大する見通しだ。

詳細を見る

2017.04.17

「地元還元」の具体策が肝となる第四銀と北越銀の経営統合

ともに新潟県に本店をおく第四銀行(新潟市)と北越銀行(長岡市)は4月5日、経営統合について基本合意した。2018年4月に持株会社を設立して経営統合し、20年4月以降に両行が合併することを目指す。新潟県内一番手行と二番手行の経営統合であり、公正取引委員会の企業結合審査の行方が注目されるが、両行は「経営統合により顧客に還元される効果」や競争環境を丁寧に説明して理解を求めていく方針だ。県内三番手の大光銀行(長岡市)も今後の戦略が問われる。

詳細を見る

2017.03.20

金融庁「異例の長崎説明会」の意図

金融庁は3月8日、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と十八銀行の経営統合で揺れる長崎県で、地元関係者の理解を得ることを目的とした説明会を開いた。金融庁が地銀の経営統合の意義・目的を公式に説明するのは初めて。説明会の開催は、「市場が寡占化して貸出金利が高止まりする」といった地元の不安を解消することが目的だが、FFGと十八銀行の統合実現に向けた“援護射撃”、さらには統合効果が乏しい地銀再編に警鐘を鳴らす金融庁の意図がありそうだ。

詳細を見る