新聞の盲点

一般社団法人金融財政事情研究会創立と同時に創刊された、金融の専門週刊誌『週刊 金融財政事情』に掲載のある記事になります。

2018.10.10.

産業革新投資機構が船出、悩ましい二律背反の舵取り

産業革新投資機構(JIC)が9月25日、旧産業革新機構を改組して発足した。旧機構については大企業の救済のために利用されてきたとの批判があったことから、JICは政府の影響力を排除する仕組みを整える。それがうまく機能するかは田中正明社長をはじめとする経営陣の手腕しだいだ。他方で、官民ファンドの赤字を問題視する向きもある。JICはリターンの最大化を掲げるが、利益確保を重視すれば民間でも対応可能な分野での民業圧迫が疑われかねない。

民間との協調・連携を強調

 産業革新投資機構(JIC)は傘下に認可ファンドなどを置き、原則として直接投資はしない。現時点で投資に回せる資金は約2兆円(旧産業革新機構の投資金額を除く)。2019年3月までに分野や規模ごとに複数のファンドを組成する計画だ。社長に就任した元三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長の田中正明氏は「世界一流の投資事業のプレーヤーに伍して、金融や投資のプロによる迅速な投資活動を行う」と意気込みを語った。
 09年に発足した旧産業革新機構の投資実績は、今年8月末時点で累計133件、1兆945億円。そのうち売却完了案件は46件で、投資回収実績(今年3月末時点)は、投資元本額3,165億円に対して実回収額が7,694億円。残る案件については、会社分割によって新設されたINCJが出口に向けたバリューアップ活動を担う。旧機構の役員はINCJの役員となり、当初の予定どおり25年3月までに解散する。
 JICは傘下のファンドに民間資金を積極的に呼び込み、投資市場の成長に資する取組みを強化する。「民間投資事業界のベストプラクティスを採用し、民間投資事業者との協調・協働の発掘に努める」との方針を掲げ、共同GPやLP投資といった選択肢も示す。「利益を度外視した官民ファンドは民業圧迫で、太刀打ちできない」(民間ファンド)といった批判に対応したかたちだ。


「ゾンビ企業は救済しない」とするものの…
官民ファンドのリターンをどう考えるべきか

この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2018年10月8日号(3280号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから