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2018.11.12.

東京の国際化構想が楔を打ち込んだ投信業界の二重計算問題

投信業界に波紋を起こした「国際金融都市・東京」構想(写真は都庁)。

毎日算出される投資信託の基準価額。1951年の投信法制定以来、委託会社と受託銀行双方が計算を行い、結果を照合する「二重計算」を行っている。しかし、この業界慣行が、外資系運用会社の日本参入を阻む障壁となっているのではないかという指摘がある。東京都が「国際金融都市・東京」構想を推進する中で、投信の二重計算は国際化を目指す東京をガラパゴス化させる象徴なのか。いや、コトはそう単純ではなさそうだ。


不明確な法的根拠

 「基準価額」とは、信託財産の純資産総額(≒時価)を口数で割ったものだ。一見シンプルだが、非上場の海外エマージングものの有価証券などは必ずしも時価が明確ではなく、容易に算出できない。日本では、委託会社(運用会社)・受託銀行(信託銀行)が日中随時、計算の基礎となる有価証券・デリバティブ・外為取引等の時価や売却・購入約定、利息・配当金などを相互で照合した上、おおむね17時以降に純資産総額と基準価額の照合を行っている。委託会社や受託銀行は、自社で計算する以外に、計算作業をITベンダーや資産管理専門信託銀行などに外部委託・再信託することもあるが、最終的に照合する点に変わりない。照合時限は19時。翌朝の新聞掲載に間に合わせるためだ。
 ただ、こうした照合作業は世界的には異例で、欧米では「アドミニストレータ」と呼ばれる専門業者が単独で基準価額を算出するのが主流だ。照合が日本独特のルールとして定着したのは、「株価の主な確認手段がラジオの短波放送だった時代に、聞き間違いがないよう委託・受託相互で確認していたことが慣行となったため」(業界関係者)という。
 また、委託会社には「受益証券基準価額帳の作成義務」が、受託銀行には「信託財産の帳簿作成義務」があり、双方は法令上の規定のもと一定の計算義務があるが、照合作業を含めた一連の慣行の法的根拠は不明確。その上、非効率を指摘する声があることから、「二重計算」問題として業界内で散発的に議論されてきたが、成果がないまま慣行が続けられてきた。


業界慣行を打破する投信協の「考え方」・・・
異なる業界内のスタンス・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2018年11月12日号(3284号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから