きんざい Online

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2018.11.26.

全銀協で議論大詰め、手形・小切手の完全電子化への論点

未来投資戦略に盛り込まれて検討が始まった「手形・小切手機能の電子化」。全銀協の検討会は12月の最終報告の取りまとめに向けて詰めの作業を進めている。手形・小切手の利用は大きく減少しており、完全に電子化されれば大きなコスト削減効果が図られる。ただ、業界の商習慣などから電子化への移行に抵抗を感じる利用者も少なくない。完全電子化の実現にあたっては、電子記録債権等の利便性向上や金融機関による導入支援・周知強化の取組みが重要になる。


利用者・金融機関の双方に大きなコスト削減効果

 全国銀行協会が設置した「手形・小切手機能の電子化に関する検討会」の議論が大詰めを迎えている。検討会は、未来投資戦略2017に「オールジャパンでの手形・小切手機能の電子化」が盛り込まれたことを受けて昨年12月に発足し、これまでに4回の会合を開催してきた。7月に中間報告を取りまとめ、12月に最終報告を公表する。
 手形・小切手の利用は大きく減少している。17年の手形交換高は、374兆1,580億円(前年比11%減)/5,548万枚(同6%減)。それぞれピークだった4,797兆円(90年)/4億3,486万枚(79年)と比べて、10分の1ほどになっている。今年9月の実績を見ても、金額ベースで前年同月比55%減の13兆円だった。ただ、枚数ベースでは同11%減の330万枚で、手形は小口化していることが推察される。
 電子化の方法は、約束手形が「電子記録債権」、小切手・国内為替手形が「振込」となり、すべてが電子化された場合のコスト削減効果は極めて大きい。検討会の資料によれば、現在749億円かかっていると試算される各利用企業の人件費が半分以下になるほか、印紙代969億円がゼロになることから、電子記録債権やEB(エレクトロニックバンキング)の手数料を差し引いても、ランニングコストの削減額は年間731億円に上る計算だ。
 また、検討会の中間報告では、電子化に伴う導入コストやスイッチングコスト等を勘案する必要性も示されていた。その後、検討会がパソコンの購入などIT化に伴う費用や電子記録債権等への切替えに伴う費用を試算した結果、イニシャルコストとしての負担が1,195億円となることがわかっている。つまり2年間で当初の費用を回収できる計算だ。
 金融機関にとっても、大幅なコスト削減を図ることができる。大手行では現在、手形の取立・交換・決済仕訳等の作業を事務センターで集中処理しているが、その体制は数百名規模。機械化は進むが、目視での確認なども多く残るのが現状だ。すべて電子化されれば、こうした人件費等が削減できるほか、電子記録債権やEBの手数料が増加し、年間837億円のプラス効果がある。利用者・金融機関の双方にとって電子化のメリットが見込まれるといえる。

実現への課題は導入支援・・・
「オールジャパン」としての効率化・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2018年11月26日号(3286号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから