きんざい Online

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2018.12.03.

急上昇するドル調達コスト、邦銀は難局をどう凌ぐのか

ドル調達コストの上昇が日本の金融機関を苦しめている。今年度の中間期決算で前年同期比2割の減益となった農林中央金庫は、その主因として高まるドル調達コストを挙げる。海外融資を増やしてきた大手行にとっても、ドル調達のコスト増は大きな痛手だ。調達コストは今後も上昇すると見る向きが強く、カバードボンドの発行など調達手段の多様化に乗り出す動きも見られる。ドル建て資産を持つ金融機関では、調達手段の安定化や多様化に向けた取組みが求められている。


10年ぶりの水準に上昇

 「円投(ドル転)」と呼ばれる為替スワップ取引や通貨スワップ取引によるドルの調達コスト(ヘッジコスト)が、10年ぶりの水準にまで高まっている。11月中旬にはヘッジコストが年率3.3%まで上昇し、ヘッジ付き米10年債利回りは約2年ぶりにマイナス圏に沈んだ。3.3%の内訳を見てみると、ドルを借りる際の目安となるドルLIBORが2.7%近くまで上昇しており、さらに「通貨間ベーシス」と呼ばれる為替・通貨スワップ市場で参照される上乗せ金利が0.6%程度まで跳ね上がっている。
 ドルLIBORの上昇をもたらしているのは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げと米税制改革だ。ドルLIBORのうちOIS(Overnight Index Swap)と呼ばれる固定金利と変動金利の交換取引は、政策金利の見通しが織り込まれるため、FRBが15年12月以降に8回利上げを行う中で底上げされてきた。
 さらに、銀行間の需給が逼迫(ひっぱく)しているため、OISを除いたドルLIBOR部分(ドルLIBOR-OISスプレッド)も拡大している。その背景として指摘されているのが、米税制改革の施策の一つ「BEAT」だ。米国外の親会社からドル調達を行い、米国内拠点に送金すると、その借入金利費用に課税されるため、外銀による米国拠点での資金調達が急増しているのだ。
 加えて、ドル供給の主なプレーヤーである米銀は12月が決算月であり、レバレッジ比率規制の導入以降、バランスシート拡大を抑制する狙いから9~12月の取引では米銀が相応の上乗せ金利を要求するインセンティブが働きやすい。他方で、トランプ政権の財政拡大に伴う過去最大規模の米短期国債増発によって米短期金利も上昇している。邦銀はレポ取引での調達にも注力してきたが、米短期金利の上昇によるレポレートの上昇によって「(邦銀が)一時的に円投に回帰している」(ニッセイ基礎研究所の福本勇樹主任研究員)とみられ、需要サイドの調達手段の変化も上乗せ金利の上昇に拍車を掛けているようだ。

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この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2018年12月3日号(3287号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから