新聞の盲点

一般社団法人金融財政事情研究会創立と同時に創刊された、金融の専門週刊誌『週刊 金融財政事情』に掲載のある記事になります。

2019.01.08.

悪質クラウドファンディングをのさばらせたのは「誰」か

銀行を介さずネット経由で資金を募り、個人・法人に貸し出す「貸付型クラウドファンディング」への行政処分が相次いでいる。その背景には、貸金業法と金商法の「相克」が制度上の抜け穴を作っているためとの指摘が従前からなされてきた。にもかかわらず規制当局である金融庁の動きは鈍く、ついには証券取引等監視委員会から4年ぶりの「建議」まで飛び出した。事態が深刻化する中で金融庁も重い腰を上げつつあるが、なぜこのような事態に陥ったのか。


不正続出で相次ぐ行政処分

 関東財務局は2018年12月14日、証券取引等監視委員会(監視委)の勧告を受け、貸付型クラウドファンディング(CF)業者である「エーアイトラスト」に対して、1カ月間の業務停止命令および業務改善命令を発出した。
 同社は、放射能除染事業に関与する会社や長距離無線通信の実証実験を行う会社に融資する二つのファンドを組成。前者についてはあたかも官公庁の関与があるように(図表)、後者については実証実験終了後に東京五輪のパートナー企業との業務提携が予定されているかのように見せかけ、投資家から各数億円の資金を集めていた。監視委は同社への検査を継続中だが、虚偽が発覚したファンドへの出資額の大きさから検査途中での勧告に踏み切った。
 最近、同様の行政処分が相次いでいる。17年3月の「みんなのクレジット」を皮切りに、「日本クラウド証券」「FIPパートナーズ」「ラッキーバンク・インベストメント」「maneoマーケット」、今回の「エーアイトラスト」と貸付型CF業者の不正が止まらない。いずれも基本的には貸付先や担保についての虚偽、貸付先のモニタリング不足など、悪質・杜撰な運営体制によるもの。FIPパートナーズに至っては、貸付先企業の事業実態や財務状況すら把握せず、業務改善の見込みがないことから第二種金融商品取引業の登録が取り消された。


「建前」のために投資家保護は後回し・・・
匿名化・複数化には業者側からも批判の声・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年1月7日号(3290号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから