きんざい Online

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2019.05.13.

金融庁の「能力主義」が際立つ霞が関の中途採用事情

プロパーキャリア以外の事務次官が現われる日は令和時代にくるか(写真は財務省)。

霞が関の各省庁が20代を中心とした中途採用に取り組んでいる。幅広い視野を持った人材を取り入れることで、行政の質を高めていく狙いがある。ただし、採用者数はわずかで、その効果も限定的だ。こうしたなか、中途採用者を積極的に幹部に登用している金融庁の「能力主義」の事例が、中途採用のモデルケースとして注目されている。実は、日本のようにプロパー職員が行政当局の次官になる例は、世界ではあまり見られない。霞が関の中途採用はどこまで広がるのか。


「その場しのぎ」の域を脱せず


 霞が関の省庁が外部経験を有する若手総合職(キャリア)の中途採用(第二新卒採用)に取り組んでいる。今年2月、財務省が人事院の経験者採用制度の一環で、7年ぶりにキャリアを中途で採用(4月入省)したことが話題となった。内閣人事局が民間の転職イベントでブースを出して、キャリアの第二新卒採用を宣伝したこともある。
 各省庁が外部経験を有する若手キャリアを採用しようとする理由の一つに、民間に就職した優秀な学生を引き戻そうという思惑があるようだ。近年、優秀な学生が霞が関で働くことを敬遠するようになっており、人事院資料によれば、国家公務員総合職の試験申込者数は年々減少している。また、人事院の統計はないが、財務省の「森友問題」や厚生労働省の「裁量労働データ問題」などを受けて、キャリアの離職率は「若手を中心に着実に高まっている」(霞が関関係者)。
 中途採用に取り組むもう一つの重要な狙いは、保守的な組織に新しいリベラルな考え方を取り込むことだ。「タコツボに入って省益しか考えることのないよう、幅広い視点や牽制が必要」(同)との問題意識が霞が関で広がっているという。
 とはいえ、その募集人数は応募人数に比して少なく、門戸は極めて狭い。新卒が中心の採用制度は変わらないため、予算上、各省庁が中途採用を拡大したくてもできない現実があるのだ。人事院がまとめた2018年度の募集人数を見ると、経済産業省が5名、農林水産省が3名、金融庁と国土交通省が各2名で、それ以外は財務省、外務省、内閣府、総務省、警察庁、厚生労働省、会計検査院が各1名であった。霞が関でも中途採用の存在は「あまり知られていない」(同)という。
 募集人数が少ないこともあり、第二新卒採用者のキャリア形成には必ずしもロールモデルがあるわけではない。旧大蔵省時代も含めて、「過去に中途採用された財務省本省キャリアは3名のみで、辞めた者もいる」(財務省関係者)という。各省庁が取り組む中途採用は開かれた組織への第一歩かもしれないが、霞が関の中途採用は、足りない人材を補充する「その場しのぎ」の域をまだ出ていないと言える。

金融庁は能力主義で中途採用組を幹部に抜擢・・・
「王道教育」にメスを入れるべきか・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年5月13日号(3307号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから