きんざい Online

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2019.05.21.

銀行の横並び体質をも崩しうる情報利活用業務

金融庁が3月15日に通常国会に提出した関連法案で、銀行の業務範囲規制の見直しが手当てされた。そこでは、銀行本体の付随業務として「情報の利活用」に関する業務が追加されている。法案について報じるマスコミ記事では、仮想通貨の名称を「暗号資産」と改める内容に注目が集まり、この規制緩和については極めて控えめな扱いだった。だが、銀行がデータビジネスに正面から参入できるようになることで、銀行業のあり方を変えるインパクトがあるとも評されている。


金融庁の危機意識から法案化


金融庁は国会に提出した銀行法改正案に、「情報の利活用(データビジネス)」を銀行本体の付随業務として加えた。改正法が施行されれば、個人情報保護法の枠組みの中で、銀行業の高度化または利用者利便の向上に資することを要件に、顧客に関する情報を本人から同意を得て第三者に提供できるようになる。立案に携わった関係者は「条文化作業が年明けまで持ち越され、バタバタだった」と振り返る。
 今回の情報の利活用は、金融庁がタイトなスケジュールで法案に落とし込んだのが実情だ。もともと、金融審議会・金融制度スタディグループ(SG)が2018年6月に取りまとめた中間整理には、金融機関における利用者情報の保護は強調されていても、情報の第三者提供の方向性について言及はなかった。そもそも銀行界としても「銀商分離問題の解消や不動産仲介業務の解禁などは求めていたが、情報利活用業務を強く要望した覚えはない」(大手行企画担当)。それが中間整理公表後の18年9月に再開されたSGで、第一の検討事項として「情報の適切な利活用」が掲げられ、そこから突貫的に法案化まで進んでいった。
 背景には、政府全体で円滑なデータ流通に向けた環境整備を進める政策に平仄を合わせるほか、金融庁の焦りにも似た危機意識がある。金融庁幹部は「海外の金融機関や日本のフィンテック企業は、情報の利活用に基づくマネタイズに積極的だが、日本の金融機関は情報を『出さない、使わない、使わせない』という固定観念から脱し切れずにいる。個人情報保護法対応で当局が高い水準での対策を求めすぎた結果でもあるのだが」と打ち明ける。

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この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年5月20日号(3308号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから