きんざい Online

スマートフォン、PCで、『週刊金融財政事情』の記事が読み放題(月額会員1,320円/月)になりました。記事単位での購入も可能です。※「週刊金融財政事情」は1950年に創刊された、金融界と歩みをともにしてきた日本で唯一の金融専門誌です。

2019.07.01.

世界中で金利が低下、日銀も金融機関も窮地を凌げるか

日銀に有効な手立ては残されているのか(写真は日銀本店)。

景気の減速懸念が強まるなか、世界の金利が低下圧力にさらされている。市場は年内3回の米利下げを織り込み、欧州でもECB(欧州中央銀行)がマイナス金利の深掘りを辞さない構えを見せている。円債金利もイールドカーブ・コントロール導入前の水準まで低下した。市場では、プラス金利の投資商品に群がる「利回り狩り」が活発化し、金利低下に拍車を掛けている。金融機関は有価証券運用のかじ取りがより難しくなり、次の一手が見当たらない日銀も難局を迎えた。


米利下げ観測で日本も逆イールドに

 世界的な金利低下圧力が強まっている。10年物国債利回りは、3月19日時点で米国債が2.62%、ドイツ国債が0.1%、日本国債がマイナス0.04%だった。それが5月5日のトランプ大統領による対中関税第3弾の25%への引上げ表明以降、するすると低下。6月20日から21日にかけては、それぞれ一時1.97%、マイナス0.32%、マイナス0.19%をつけた。ドイツ国債は過去最低水準であり、フランス10年国債の利回りも6月18日に過去最低のマイナス圏に足を踏み入れた。
 マイナス金利政策を導入している日本では、短期金利がマイナス0.1%に固定されている。本来であれば国債の年限が長くなるにつれて金利が高くなるイールドカーブを描くのだが、2年物はマイナス0.23%程度、5年物はマイナス0.26%程度、10年物はマイナス0.16%程度と、2~5年ゾーンが深く沈んだいびつな逆イールドを形成している。
 世界中の金利低下の背景にあるのが、景気減速を見据えた米欧による利下げ観測の強まりだ。市場は、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げされる確率を100%と見込んでいる(6月25日時点)。FRB(米連邦準備制度理事会)のクラリダ副議長は5月30日に「リスクの高まりが利下げを促す引き金となる」と言及しており、パウエル議長も6月4日講演や20日の会見で「景気拡大を維持するため適切に行動する」と先行きの利下げを示唆した。ECBのドラギ総裁も6月の政策理事会で、不測の事態に対応する選択肢としてマイナス金利の深掘りを協議したことを明かした。
 この先、どこまで金利低下が進むのか。メガバンク幹部は「年内の米10年債利回りの底は1.75%」と話す。また日本の債券ディーラーは「円債金利は当面、低下が進む」とし、「2016年7月につけたマイナス0.289%の過去最低を更新する可能性がある」と言う。ネガティブな経済指標が発表されたり、米中貿易摩擦が問題視されたりするたびに、日米欧金利が二番底を試すことが想定される。

各地で沸き起こる「利回り狩り」・・
日銀の窮余の選択肢・・

この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年7月1日号(3314号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから