新聞の盲点

一般社団法人金融財政事情研究会創立と同時に創刊された、金融の専門週刊誌『週刊 金融財政事情』に掲載のある記事になります。

2019.07.08.

玉虫色のG20首脳宣言、貿易問題は引き続き世界に暗い影

6月末、日本が初めて議長国を務めた主要20カ国・地域首脳会合(G20大阪サミット)と、世界が固唾をのんで見守った米中の首脳会談は「貿易」が最大のテーマとなった。いずれも最悪の結末は避けられたとはいえ、貿易戦争の終結には程遠い。米中間の橋渡し役を期待されたサミット議長の安倍晋三首相も、玉虫色の首脳宣言で対立を覆い隠すのが精いっぱい。主要リーダーが集った「大阪夏の陣」で決着はつかず、貿易問題は引き続き世界経済に暗い影を落としている。


安倍首相「対立よりも一致点」

 「各国間の対立ではなく、一致点に焦点をあてた」。6月29日のサミット閉幕後、安倍首相は記者会見でこう強調した。討議の成果を盛り込んだ首脳宣言では、これまで主要国・地域の結束を象徴してきた「保護主義と闘う」という強い表現を見送り、「自由で公正かつ無差別な貿易・投資環境の実現と開かれた市場の維持に努力する」という米中双方に配慮した文言にとどめた。
 世界の2大経済大国である米中の対立が激化するなか、首脳宣言の文言調整は難航を極めたという。その象徴が「反保護主義」だった。首脳宣言の事前調整にあたった、ある経済官庁の幹部は「年々ワーディングが難しくなる」と明かす。
 もともと財務相・中銀総裁の集まりだったG20が首脳会合に格上げされたのは、2008年のリーマンショックがきっかけだ。当時は米国発の世界恐慌が現実のシナリオとしてささやかれ、高関税で自国産業を守ろうとする保護主義の台頭を許しかねない状況だった。保護主義は、第2次世界大戦の遠因とも言われ、世界の安定をも脅かす“厄介者”。08年11月にワシントンで開かれた第1回G20サミット以降、反保護主義の文言は17年開催のG20ハンブルクサミットまで、首脳宣言に必ず盛り込まれていた。
 だが、17年に発足したトランプ政権は中国との巨額の貿易赤字是正を掲げ、18年から対中制裁関税を次々に発動。保護主義のレッテルを貼られるのを嫌がり、「反保護主義」の文言の明記に反対した。そして18年12月のG20ブエノスアイレスサミットで、この文言はついに削除された。
 大阪サミットの首脳宣言で復活するかどうかにメディアの注目は集まったが、参加国・地域はこの文言に焦点をあてることを嫌がったという。トランプ政権の翻意が見込めないためで、ある関係者は「反保護主義という文言を使えば議論が止まる」とまで話していた。サミットの前哨戦として福岡市と茨城県つくば市でそれぞれ開かれた財務相・中央銀行総裁会議、貿易・デジタル経済相会合の共同声明でも、反保護主義の明記は見送られていた。
 議長国を務める日本は、・・・

大阪の主役は米中・・
限界見える安倍外交・・

この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年7月8日号(3315号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから