きんざい Online

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2019.07.16.

老後資金問題の影響軽微もサプライズが目立った金融庁人事

6月16日には早々と財務省幹部人事の“新聞辞令”が行われたが、金融庁長官の留任報道は正式発表直前の7月に入る日までずれ込んだ。それまで老後資金問題の影響を推し量り、虚実入り乱れた憶測が飛び交っていたためだろう。サプライズだったのは、財務省大臣官房秘書課長から監督局審議官に就任した伊藤豊氏、そして監督局総務課長から総合政策局審議官へと“2階級特進”を果たした堀本善雄氏。ほかにも総務課長以上で入れ替わりの激しい大幅な人事異動となった。


老後資金問題は影響せず

 複数の金融庁幹部は、今年の金融庁人事における老後資金問題の影響について「ほぼない」と口をそろえる。問題の引き金となった金融審議会報告書の担当局長は、三井秀範・前企画市場局長(1983年大蔵省入省、以下同)。三井氏の生年月日は59年5月で、今年が次官級ポスト(金融庁長官、金融国際審議官)になるリミットを迎えていた。国家公務員法上、原則として、局長は60歳の誕生日に達する年度の3月末までが任期のため、留任しても来年3月までしか在任できない。次官級ポストの定年は62歳までなので、今回の人事で次官級ポストに就かなければ定年退職するしかなかったことになる。つまり、老後資金問題がなかったとしても、勇退の可能性が極めて高かったと言えるだろう。
 83年入省組の“三羽がらす”のうち、三井氏のほかに総合政策局長だった佐々木清隆氏も勇退したことで、残る氷見野良三金融国際審議官が次期長官の最有力候補となった。金融庁関係者によれば、遠藤俊英長官(82年入省)は、氷見野氏に対して「現場で顔を売るように」と促しているようで、今事務年度はおのずと対外的なアピールが増えそうだ。
 氷見野氏は、03年からほぼ3年にわたってバーゼル銀行監督委員会事務局長を務めた、富山訛りの英語を駆使する国際金融規制のプロ。著作『検証BIS規制と日本』は銀行界のバイブルとなった。それだけでなく、金融庁OBの大森泰人氏に「詩人兼芸術家がたまたま金融行政に携わっている」と言わしめるほど、霞が関きっての教養人の一面を持つ。フランスの彫刻家マイヨールを紹介した著作の評価は高く、漢籍への造詣も深い。
 もう一つの次官級ポストである次の金融国際審議官は、86年入省組の白川俊介総括審議官と天谷知子総合政策局審議官(国際担当)が有力だ。これまで財務省・金融庁で女性が次官級ポストに就いた例はない。国際金融の舞台では、ラガルド氏(次期欧州中央銀行総裁)やナビウリナ氏(ロシア中央銀行総裁)のように女性の活躍が著しく、「天谷氏の金融国際審議官就任は規定路線」(金融庁幹部)との声も聞かれる。
 “次の次”の長官も絞られてきた。85年入省組の森田宗男総合政策局長と中島淳一企画市場局長だ。金融庁では、総合政策局長だった佐々木氏が今回退任したように、筆頭局長から勇退するという霞が関の常識とは異質な慣習が定着している。次の次の長官人事を巡っては、この慣習がどう作用するのかが一つの焦点になりそうだ。


サプライズは伊藤氏と堀本氏・・・
石田―島崎ラインで進める地域金融監督・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年7月15日号(3316号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから