きんざい Online

スマートフォン、PCで、『週刊金融財政事情』の記事が読み放題(月額会員1,320円/月)になりました。記事単位での購入も可能です。※「週刊金融財政事情」は1950年に創刊された、金融界と歩みをともにしてきた日本で唯一の金融専門誌です。

2019.09.02.

横浜市参戦で熾烈化するIR誘致合戦

8月22日、横浜市の林文子市長がIR誘致を正式に表明した。横浜市のIR誘致表明は、関東圏で初、全国では大阪府・市、和歌山県、長崎県についで4カ所目となる。政府は、今秋に区域認定の基準等を示した基本方針案を発表する運びで、ほかにIR誘致を検討している北海道、東京都、千葉市、愛知県が秋以降に誘致の可否を判断することが予想される。IRの認定区域は最大で三つ。その椅子を巡り、自治体間のIR誘致競争が一段と激しさを増しそうだ。


大本命の横浜市がついに参戦

 横浜市の林文子市長は、8月22日に行われた記者会見でIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の誘致を正式に表明した。誘致決断の理由として、人口減少が進む中での財政状況の悪化など、横浜の将来への強い危機感を挙げている。横浜市が発表した資料によると、IRを誘致できた場合、年間訪問客数2,000万人~4,000万人、建設時の経済波及効果7,500億円~1兆2,000億円、増収効果として820億円~1,200億円が見込まれるという。
 しかし、林市長はこれまで、IR誘致の判断材料がそろわないことを理由に「白紙状態」を貫いてきた。新たな判断材料がないこのタイミングで、なぜIR誘致を決断したのか──。その背景にあるのが、政府が想定するIR開業までのスケジュールだ。
 政府は、近くカジノ管理委員会を設立し、その後、区域選定の基準等を定めた基本方針を発表する方針だ。IR誘致を目指す自治体はこの基本方針に沿って、カジノ事業者の選定基準などを定めた実施方針を策定する必要がある。
 自治体は実施方針の策定後、公募により選定したカジノ事業者(IR運営会社)と共同で区域整備計画を政府に申請する。その中から、内容の優れたものを政府がIR区域として認定する。IRの認定は、早ければ2020年末にも決まる。このようなスケジュールが想定されるなか、横浜市が決断をさらに先延ばしすれば実施方針の策定やカジノ事業者の選定などで後れを取り、IR誘致レースで不利な戦いを強いられることになってしまう。
 現在までにIR誘致を正式に表明しているのは、大阪府・市、和歌山県、長崎県と横浜市の四つの自治体で、検討中としているのが北海道、東京都、千葉市、愛知県だ。横浜市のライバルになるとみられる関東圏では、千葉市が7月にカジノ事業者に対して情報提供を依頼するなどIR誘致に向けたギアを一段階上げている。東京都も今年6月、IR整備に伴う制度構築を着実に行うことを内閣官房に対して要望するなど、そのスタンスを強めている。
 政府はIRの認定区域について地域のバランスは求めておらず、申請があった区域整備計画の中から優れたものを認定する方針だ。政府方針に従えば、関東圏に二つのIRが認定されるケースも想定される。しかし、現実問題としてその可能性は考えにくい、というのが世間一般的な共通認識であろう。東京都や千葉市が粛々とIR誘致活動を進めていることも、林市長の背中を押した要因の一つと考えられる。


カジノ事業者が横浜シフト、大阪は誘致計画の練り直しも・・・

懸念される根強いカジノ反対運動・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年9月2日号(3322号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから