きんざい Online

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2019.09.16.

進まない「銀行API」、コスト問題が最大のネックに

銀行と電子決済等代行業者(電代業者)のシステムをつなぐAPIの契約締結が進んでいないことへの危機感が高まっている。電代業者が提供するフィンテックサービスで用いられている「銀行契約なしスクレイピング」は来年5月末で禁止され、それまでにAPIの契約が結べなければ、顧客は現在利用しているサービスを受けられなくなるおそれがある。だが、手間がかかる審査やコスト負担の問題などから契約交渉が加速する気配はない。


来年5月末の期限が迫る

 銀行口座を保有する顧客が銀行を通さずに、インターネットバンキングのIDとパスワードを電代業者に提供することで家計簿アプリなどのサービスを受ける、いわゆる「銀行契約なしスクレイピング」が来年5月末で禁止される。それまでに銀行と電代業者が契約を締結しなかった場合、顧客が家計簿アプリやクラウド会計サービスを利用できなくなり、特に会計サービスを利用している中小企業では経理業務などに大きな影響が及ぶとみられる。そもそもIDなどを第三者に提供するスクレイピングは情報流出の危険を伴うため、電代業者と銀行のシステムを直接つなぐことで口座情報などを照会できるようにする「API接続」に切り替えることが推奨されている。
 だが、このAPIの契約締結が遅々として進んでいない。金融庁は7月に実施した全国地方銀行協会などとの意見交換会で、「経営として、スケジュール感や進捗状況を十分に把握していないのではないか」(遠藤俊英長官)と懸念を示した。8月28日に公表した金融行政方針でも、進捗状況の調査や契約締結を促す各種取組みを要請している。
 ただし、銀行からすると、電代業者が勝手にIDとパスワードを管理してフィンテックサービスを提供しているため、電代業者からの申し出がなければ、自行の顧客がどういったサービスを利用しているかを把握することはできない。他方、電代業者は人的なリソースが限られるため、利用者の多い大手銀行などから順に交渉を進めている状況だ。そのため中小規模の地銀では、「こちらから電代業者に確認するような話でもないはず」(第二地銀幹部)との意見が支配的だ。
 こうしたなか、全国銀行協会が7月23、25日に東京と大阪で実施した説明会には、全地銀が参加。同月末には金融庁主導で、銀行と電代業者とがAPI契約について話し合う相談会も開催された。接続試験に要する時間などを考えれば、年内には契約交渉で大筋合意する必要がある。だが、多くの地銀関係者からは、「とても間に合わない」という弱気な声が漏れている。

審査手法の未整備も交渉が進まない要因に・・・
コストは誰が負担すべきか・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年9月16日号(3324号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから