きんざい Online

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2019.09.23.

可変料率の導入検討で萎む預金保険料の大幅ダウン期待

規模・特性がさまざまな金融機関にとって、業界として一枚岩となって行動できることは少ない。ただ、預金保険料率の引下げを巡っては、利害が完全に一致していた。責任準備金の目標水準(5兆円)の到達を目前にして、預金保険料率の大幅ダウンを見込んでいた金融界。ところが、金融庁が示した可変料率導入の検討で、料率大幅ダウンへの期待が急速に萎みつつある。可変料率の導入を巡っては、かつて挫折した日本版CAMELSへの再チャレンジも想起されている。


5兆円を目前に青天の霹靂

 「マイナス金利の深掘りが追加緩和策の選択肢になっている昨今、円預金はコストでしかない」。こう話す大手行の財務担当役員は、足もとの預金流入の傾向に警戒感を示し、「預金保険料率は低ければ低いほうがよい」と漏らす。2007年10月から預金保険の対象金融機関となったゆうちょ銀行の幹部も「微々たる引下げであっても、経費削減効果は大きい」と話す。詰まるところ、預金保険料率の引下げは預金保険制度に加入する全金融機関の切なる願いだ。
 現在、預金保険の対象金融機関は、保有する預金量に対して一律の預金保険料率を乗じて算出された預金保険料を、預金保険機構(預保)に納付している。保険金支払いの原資となる預保の一般勘定を巡っては、金融危機の影響から欠損金が02年度末に4兆円規模までふくらんだが、10年度末には解消。預保は15年3月、責任準備金の目標水準を5兆円程度とし、21年度末をメドに積み立てることにした。責任準備金は18年度末で3兆9,876億円を計上しており、19年度の実効料率は0.033%で、17年度以降3年連続で引き下げている。
 金融界では、責任準備金の目標水準を達成した暁には、預金保険料率が大幅ダウンするとの観測が大勢を占めていた。そうしたなか、金融庁が8月28日に示した今事務年度の金融行政方針で「可変料率」に言及があったことに、業界団体関係者は「虚を突かれた思い」と口をそろえる。
 可変料率は、経営悪化の程度が大きい金融機関であればあるほど、高率の保険料を納める仕組み。導入されれば、現行水準と比べて保険料収入の確保が難しくなることも考えられ、ひいては財政状況(責任準備金の規模)に影響を与えうる。つまり可変料率は、預金保険料率の大幅ダウンへの期待を水泡に帰す制度になりかねないのだ。
 もっとも、あくまで保険料率を決めるのは預保の運営委員会であり、「金融庁が頭ごなしに可変料率導入を決めることはできない」(金融庁幹部)。まずは金融庁と預保で会議体を組成するなど、検討の場づくりが必要となるが、「具体的なスケジュールは決まっていない」(同)。保険料率を決定する運営委員会は毎年3月に開かれるが、そこをターゲットとして制度を固めるかどうかも未定で、「19事務年度内に成案を得られるかもわからない」(同)という。

パッケージ策に盛り込んだ意図・・・
日本版CAMELSの再来なるか・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年9月23日号(3325号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから