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2019.09.30.

消費税還元で盛り上がるキャッシュレス、銀行系に勝機はあるか

政府のポイント還元事業で、キャッシュレス決済市場の勢力図はどう変わる?

政府は10月1日から来年6月末にかけて、消費税増税に伴う「キャッシュレス・ポイント還元事業」を実施する。キャッシュレス手段で決済した場合、決済額の2~5%が還元される。日本のキャッシュレス決済はクレジットカードの独壇場だが、IT系のQRコード決済が大規模なキャンペーンを展開し、その牙城を崩しにかかっている。これに対し、後発となる銀行系のQRコード決済の多くは加盟店数や知名度で後れを取っており、普及へ課題を残したまま10月1日を迎える。


浮上する「銀行ペイ」、なお水面下の「Jコインペイ」

 10月1日から、政府の「キャッシュレス・ポイント還元事業」がスタートする。クレジットカードや電子マネー、スマートフォンのQRコード決済などキャッシュレス手段で決済した場合、中小・小規模事業者の店舗などでは決済額の5%が、コンビニなどのフランチャイズ店では2%が、ポイントや実質的な値引きで還元される施策だ。
 日本では現在、クレジットカードがキャッシュレス決済の9割を占めている。新興のQRコード決済事業者は「政府のポイント還元事業をテコに利用者を増やしたい」(幹部)と考えており、利用者にとっても、よりお得な決済手段を選ぶ機会になる。ペイペイやLINEペイ、d払いなどはこれまでも大々的なキャンペーンを展開し、自社サービスへの囲い込みを図ってきた。10月以降にはこうした新興勢を中心に、2~5%のポイント還元に自前でポイントを上乗せするキャンペーンをふたたび展開する動きもあり、キャッシュレス決済市場の勢力図が大きく変わる可能性もある。
 こうした中で、後発となる銀行系の決済サービスはどこまで浸透できるのか。先行しているのは、2017年7月にサービスを始めた横浜銀行の「はまペイ」。GMOペイメントゲートウェイとシステムを共同開発したQRコード決済だ。横浜銀行は「銀行ペイ」のブランドで他行へも展開しており、ゆうちょ銀行では今年5月から「ゆうちょペイ」として採用した。10月からはセブン-イレブンでも利用できるようになることで、加盟店数は全国で約3万8,000店にまで拡大する。使える場所が広がることで、利用者の増加も期待できそうだ。
 もう一つの銀行系勢力が、みずほ銀行が主導する「J-Coin Pay(コインペイ)」。今年3月にサービスを開始し、約60行の地銀も参加している。QRコード決済に加え、スマホ上で決済・送金も行え、提携する銀行口座からJコインペイへの入出金が無料という点がウリだ。しかし、サービス開始から6カ月を経た9月25日時点でも、利用できる加盟店はサイト上で「Coming Soon ...」と表示されたまま。加盟店の公表が遅れている理由の一つは、「コンビニや大手家電量販店での導入が進んでおらず、利用できる店舗が少ないこと」(関係者)。
 一般に、中小の小売店がQRコード決済を導入する場合、店舗にステッカーを貼るMPM方式(利用者がスマホでQRコードを読み取る店舗提示型)を採用するため、導入は簡単だ。他方、コンビニなど大手チェーン店舗ではさまざまな決済手段に対応するため、POSレジの改修が必要なCPM方式(利用者がQRコードを提示して店舗がコードリーダーで読み取る利用者提示型)を採用している。POSレジ改修には半年から1年かかるため、10月1日からのポイント還元事業を直前に控えた今も、大手チェーン店舗での導入が実現していない。
 新興のQRコード決済が大々的なキャンペーンで利用者の囲い込みに動くなか、Jコインペイが加盟店などを告知したころには利用者のキャッシュレス決済手段が確定しており、大きな流動化につながらないおそれがある。一大勢力に浮上するには、早期の告知やキャンペーンの展開が必須といえそうだ。

最後発の「バンクペイ」にも一縷の望み・・・
MUFGの「coin」、今年後半にも開始・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年9月30日号(3326号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから