新聞の盲点

一般社団法人金融財政事情研究会創立と同時に創刊された、金融の専門週刊誌『週刊 金融財政事情』に掲載のある記事になります。

2019.10.09.

マネロン対策との両立でメリットの少ない外国人口座開設

政府が本腰を入れ始めた外国人材の受入れ。法務省が昨年12月に公表した「総合的対応策」では、技能実習生など在留外国人の口座開設への円滑な対応が金融機関に求められた。金融サービスをあまねく提供することは、SDGsの実現にも資する重要なテーマ。ただ、在留期間が満了して帰国する際に、闇サイトなどを通じて預貯金口座が不正に売られるケースが多いことから、マネロン・テロ資金供与対策との兼ね合いに頭を悩ませる金融機関が少なくないのが実態だ。


印鑑の作成が口座開設の障害に

 2018年末現在の在留外国人数は273万1,093人。前年末比6.6%増で、過去最高を更新した。今年4月には改正出入国管理及び難民認定法が施行され、一定の技能と日本語能力を備えた外国人に日本での就労を認める新たな在留資格「特定技能」も設けられた。
 外国人労働者を中心に今後も増加の一途をたどるとみられる在留外国人。日本で生活するうえで欠かせないものの一つが、給与の振込や家賃・公共料金の支払いなどで必要となる預貯金口座だ。だが、マネロン・テロ資金供与対策を強化してきた金融機関は、外国人の口座開設を「高リスク」とみなして慎重な対応を取ってきた。外国人労働者の本格的な受入れが始まる日本において、口座開設への対応は重要な課題になっている。
 政府も昨年12月に公表した「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」で、すべての金融機関に対して、技能実習生などの在留外国人の口座開設に円滑に対応するよう要請している。金融庁も、金融機関の対応に目を光らせる。「口座開設に円滑に応じてもらえなかった」など個別のクレームについて検証しているほか、「支店ごとの対応にバラつきがないか」といった問題意識も持って、適切な対応をすべての支店・担当者に浸透させるよう呼び掛けている。9月の地銀協・第二地銀協との意見交換会では、金融庁幹部が「印鑑の作成が外国人材による口座開設の障害になっている可能性がある」と指摘。あわせて、支店の対応を検証するため覆面調査を実施した銀行の事例を匿名で紹介した。
 こうした要請を受けて、金融機関では在留外国人の口座開設に円滑に応じられるよう、対応に乗り出している。地域金融機関では支店での言語対応が課題になるが、多言語に対応できる音声翻訳アプリなどを活用することで、窓口での対応態勢を整備してきた。さらには、金融庁が支店ごとの対応のバラつきを問題視し、覆面調査の事例を紹介したことで、多くの地銀が同様の調査を実施すべく検討に動いている。

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この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年10月07日号(3327号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから