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2019.10.14.

リブラ計画からペイパル脱退、構想が砂上の楼閣に終わる懸念も

ペイパルの脱退で、リブラ実用化にまたしても暗雲

デジタル通貨のリブラ計画から、主要メンバーの米ペイパルが脱退することが明らかになった。他方で、ペイパルは中国のオンライン決済市場に外国企業として初めて参入する。実用化が危ぶまれるリブラよりも、確実に利益を得られる中国でのビジネス展開を選択するため、リブラへの警戒を強める中国当局に配慮して脱退したとの見方もある。他の主要メンバーもリブラへの参加を再考していると報じられており、実用化の雲行きがますます怪しくなってきた。


ペイパルが中国市場を選択したわけ

 フェイスブックがブロックチェーンを活用して実用化を目指すデジタル通貨「リブラ」。リブラの運営を担う組織であるリブラ協会から、米決済大手のペイパルが脱退することが10月4日、明らかになった。
 フェイスブックがリブラ計画を公表した6月中旬時点では、リブラ協会の創設メンバーには、ペイパルのほかにフェイスブックとその子会社でデジタルウォレットを開発するカリブラ、決済大手のビザ、マスターカード、ストライプ、通信大手のボーダフォングループ、配車サービスのウーバーテクノロジーズ、リフト、音楽配信のスポティファイなど、28社が名を連ねていた。
 リブラを巡っては、リブラ協会が9月11日にスイス連邦金融市場監督機構(FINMA)に、決済システムの免許申請を行ったばかり。「FINMAと建設的な対話を行っており、オープンソースのブロックチェーンネットワークを、規制に則した決済システムにする道筋が見えている」との声明も発表していた。こうしたタイミングで、なぜペイパルは脱退を決断したのか。
 ペイパルは9月30日、中国人民銀行の許可を得て、中国で決済アプリを手掛ける「国付宝(GoPay)」の株式70%を取得したことを公表している。年内にも株式取得が完了する見込みで、外国企業が中国のオンライン決済市場に参入するのは初めて。中国のEC市場に詳しい専門家は、「ペイパルのリブラ協会脱退は中国におけるビジネス展開への影響を考慮した可能性がある」と指摘する。
 そもそも中国当局はリブラに対して、「貨幣のように使われた場合、金融政策や国際通貨制度に大きな影響を与える」との懸念を示す一方、独自に“デジタル人民元”の開発も急いでいる。中国人民銀行の易綱総裁は9月24日の会見で、「発行時期は未定」としたうえで人民銀行が14年からデジタル通貨を研究していることも明かしている。
 欧米の各国もリブラに対して強い懸念を示していることから、金融規制・監督との調整は極めて難航することが予想され、その実用化を巡っては懐疑的な見方も強い。ペイパルからすれば、いつ実用化されるのかわからないリブラにこだわるよりも、「キャッシュレス先進国の巨大市場に成長した中国で、越境ECを展開したほうが得策」(前出専門家)ともいえる。GoPayを通じた中国での事業展開の許可を得るためにも、中国当局にとって疎ましい存在ともいえるリブラからの脱退を決断したとも読めるわけだ。

世界中で四面楚歌・・・
近日中に公式メンバーが確定・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年10月14日号(3328号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから