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2019.10.21.

スチュワードシップ・コード改訂を巡って浮上する論点

「スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」の初回会合が10月2日に開かれ、来年に予定されているスチュワードシップ・コード(SSコード)の改訂に向けて議論の火ぶたが切られた。最大の論点に浮上しているのが、生保や信託銀行などの運用機関に対して、議決権の行使結果だけではなく、賛否の理由も開示するよう求めている点。また、主要なアセットオーナーである企業年金基金のSSコード受入れが限定的なことも課題となっている。


厳しくなる「利益相反」への視線

 機関投資家の行動指針であるSSコード。投資先企業とのエンゲージメント(目的を持った建設的な対話)を通じて、企業の持続的な成長や年金受給者への投資リターンの拡大といった責任を果たすことを目的としている。SSコードは3年ごとに見直され、来年がその改訂年にあたる。金融庁では、来年の株主総会に間に合うように改訂案の取りまとめを行う意向だ。
 見直しの方向性は、今年4月に開催されたフォローアップ会議の意見書に示されている。最大の論点に浮上しているのが、生命保険会社や信託銀行、アセットマネジメント会社などの運用機関に対して、議決権行使の結果だけではなく、なぜ賛成または否決したのか、その判断理由も開示するよう求めている点だ。
 これまでに議決権行使の結果を開示している運用機関は119機関(9月末時点)に達するが、このうち賛否の理由まで開示しているのは40機関にとどまる。賛否理由の開示が広がらない背景には、「否決した理由を公表することで企業の問題点が浮き彫りになり、(当該企業の)心証を悪くすることで対話に応じてくれなくなる」(運用会社幹部)といった懸念があるようだ。また、親会社に対する議案や投資先企業と取引がある場合には、そもそも反対しづらかったり、明確な賛否理由を説明しづらかったりすることから、開示に対して消極的になっているとの指摘もある。
 投資先企業との取引関係に配慮したうえでの議決権行使は「利益相反」ともいえる。有識者検討会のメンバーである企業統治推進機構の佃秀昭社長は「別の取引を理由に議決権行動がゆがむことがあってはならない」とし、特に不祥事のあった企業の議案や世間も注目する役員人事の議決権行使などに関しては「理由を開示することで株主の利益を守る必要がある」と話す。同様に、有識者検討会のメンバーで日本投資顧問業協会の大場昭義会長も初回会合の場で、「利益相反が疑われる議案、世の中が注目する議案は、賛否にかかわらず説明するのが望ましい」と問題提起した。

地銀も他人事ではないSSコード改訂・・・
アセットオーナーのコード受入れも課題・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年10月21日号(3329号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから