きんざい Online

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2019.11.11.

日銀も迫る地域金融機関の店舗削減

長引く金融緩和政策によって金融機関の収益性が低下するなか、日本銀行は10月に公表した金融システムレポートで、今後10年間で経費を1割削減し、非資金利益を1割弱増加できれば、地域金融機関の経営は安定性を維持できるとの試算を示した。かつて収益の源泉だった金融機関の店舗は、非対面チャネルへのニーズが高まっていることから存在意義が低下しつつある。店舗統廃合が経費削減の大本命に浮上しているが、地域によっては地元との間で軋轢が生じる懸念もある。


経営の安定には10%超の経費削減が必要

 日本銀行は10月24日に公表した金融システムレポートで、地域金融機関が経営を維持していくためのシナリオを示した。現在の各業態の上位10%の金融機関と同等程度の効率的・安定的な経営を目指すには、10年間で1割の経費削減を行い、手数料などの非資金利益を現状比で1割弱増加させる必要があるとの試算を示した。各業態の上位10%の金融機関を目指すべき目安としたのは、「収益力・自己資本比率を高め、将来的なストレスへの耐性を強めることができるラインであるため」という。
 本業が低迷する地域金融機関は、コストカットと収益の多角化という両輪で経営改善を図ることが求められるが、非資金利益を増加させることは容易ではない。地域金融機関はこれまでも投資信託や保険の販売に注力してきたが、一時期よりも手数料収益が落ち込んでいるケースが目立つ。M&Aや事業承継も新たなビジネスの芽として期待されるが、「有しているスキルや案件数の少なさから、収益の柱に育つには限界がある」(和キャピタルの伊藤彰一専務)。
 では、非資金利益の増加が見込めない場合、日銀が示したシナリオはどう変わるのか。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの杉山敏啓氏は、「経費削減を一段と進める必要がある。地域金融機関が経費削減だけで経営の安定性を維持していくことを考えた場合、現状比12%のコストカットが必要」との試算を独自にまとめている。杉山氏が試算する経費削減率を地域金融機関が実現するには、全1万8,914店舗(地銀、第二地銀、信金、信組の店舗合計数、2017年3月末)のうち約14%にあたる2,657店舗を減らすほか、およそ30万7,000人に上る職員数でも約12%にあたる3万7,000人を減らす必要があるという。
 だが、地域金融機関が過去10年間(08年3月期~18年3月期)で実現した経費削減率は、わずかに4.4%。この数字を10%以上に高めるには大ナタを振るう必要があるが、その有力な手段となりうるのが金融再編だ。10月29日にふくおかフィナンシャルグループが発表した傘下の十八銀行・親和銀行の合併に伴う店舗統廃合を見ると、両行で185ある店舗のうち、38%にあたる71店舗を統合する。これにより、「年間で10億円程度のコストを削減できる」(十八銀行経営企画部)という。両行の当期利益は合算で81億円。地域が重複する金融機関同士の合併は、大規模な統合効果が得られることを示唆している。


「できる限り店舗は残したい」・・・
 有効な店舗内店舗方式・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年11月11日号(3331号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから