きんざい Online

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2019.12.02.

地銀で広がる自社不動産の有効活用、仲介解禁はなお壁高し

地方銀行が持続可能なビジネスモデルの構築に向けて非金利事業を強化するなか、本店や支店の一部を賃貸する動きが広がっている。従来は自社不動産の賃貸について明確な基準がなく、積極的な事業展開が難しかった。だが、金融庁が監督指針を改正し、不動産の有効活用を後押しする姿勢に転換したことで、飲食店や大型ホテルを併設する事例も現われた。金融庁は地銀の経営改革につながる規制緩和に積極的だが、地銀が「本丸」と位置付ける不動産仲介解禁の道はなお険しい。


変化した当局の姿勢


 銀行が保有する自社不動産の賃貸に関して、業法上は当局による認可や届け出の必要はない。ただし、金融庁の監督指針には賃貸を行う際の要件が定められており、「積極的な推進態勢が取られていないこと」「経費支出が必要最低限にとどまること」「賃貸規模が過大でないこと」などとされている。賃貸規模などの要件が明確ではないため、地銀が自社不動産を賃貸する際には、財務局におうかがいを立てることが慣例となっている。
 しかし、財務局ではこれまで、こうした相談に対して消極的な姿勢が目立った。背景には、すでに地銀が行ってきた賃貸事業の中に、他業禁止の「グレーゾーン」に該当する事例がありうることが関係しているようだ。そもそも監督指針の策定以前には、当局への事前相談なしに自行の判断で自社不動産を賃貸してきた地銀もある。そうしたケースでは監督指針の想定を超えている事例もあるとみられ、財務局が不動産の有効活用について相談に乗ろうにも「既存の事例と整合性が取れなかったりするため、相談に乗ること自体に消極的だった」(地銀関係者)。
 それゆえ、これまでは監督指針にある「賃貸規模が過大でないこと」がネックとなり、支店が目抜き通りなどの一等地にあっても不動産を有効活用することが難しかった。仮に、古くなった低層階の支店をビルに建て替え、好立地を生かして余剰となるスペースを貸せば多くの賃貸収入が期待できるが、ビルの大部分を賃貸に回すと、面積的に銀行業と賃貸業の「主従」が逆転する。監督指針には「賃貸規模は機械的に判断する必要はない」と記載されているものの、規制抵触のおそれから積極的な賃貸事業の展開には躊躇があった。
 だが、金融庁が2017年9月に監督指針を改正し、自社不動産の有効活用を後押しする方針を打ち出したことで、最近は財務局も積極姿勢に転じている。同改正のもと、「公共的主体」からの要請に基づく場合には賃貸規模の過大性を柔軟に解釈する余地が生まれ、本店や支店の空きスペースなどを有効活用しやすくなっている。さらに、金融庁が「財務局とのやり取りが進まなければ自分たちに相談してほしい」(幹部)と金融機関に伝えていることもあって、多くの地銀が自社不動産の賃貸手法の多様化を進めている。

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この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2019年12月2日号(3334号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから