きんざい Online

スマートフォン、PCで、『週刊金融財政事情』の記事が読み放題(月額会員1,320円/月)になりました。記事単位での購入も可能です。※「週刊金融財政事情」は1950年に創刊された、金融界と歩みをともにしてきた日本で唯一の金融専門誌です。

2020.01.13.

茨の道が待ち受ける日本郵政のリスタート

「今回の問題は郵政グループにとって創立以来最大の危機だと受け止めている」。1月6日午前、日本郵政グループの役員らを前に日本郵政の社長として年頭の挨拶に立ったのは、増田寛也元総務相だった。官邸主導による「緊急登板」を受けるかたちで社長に就任したが、40万人超の職員を抱える巨大企業のトップとして手腕を発揮できるかは未知数。民営化に向けた株式売却のエクイティストーリーと、ユニバーサルサービスを維持するための収益獲得の道筋をどう描き直すのか。

「森人事」の成れの果て

 約18万3,000件(約15万6,000人分)もの不適切な保険販売の疑いがある日本郵政グループに、ついに行政処分が言い渡された。金融庁は昨年12月27日、かんぽ生命と日本郵便に対して新規の保険販売を3カ月停止させる業務停止命令を下し、親会社の日本郵政を含む3社に業務改善命令を出した。総務省も同日、日本郵政と日本郵便に行政処分を発出。金融庁は保険業法違反が67件、社内規定違反が662件あったと認定した。
 行政処分を受けて、3社のトップである日本郵政の長門正貢社長(みずほ銀行出身)、日本郵便の横山邦男社長(三井住友銀行出身)、かんぽ生命の植平光彦社長(東京海上日動火災保険出身)がそろって引責辞任。日本郵政の鈴木康雄上級副社長(元総務事務次官)と日本郵便の髙橋亨会長(元郵政官僚)を含めた5氏が1月5日に総退陣した。さらに、総務省の鈴木茂樹事務次官(当時)が行政処分関連の情報を日本郵政の鈴木上級副社長に流したとして、鈴木次官も12月20日に辞職した。
 日本郵政の長門社長は12月27日の会見で、辞任を決意した時期について「8月上旬には責任を取らねばと覚悟していた」と話し、調査報告や行政処分に合わせて決断したと説明した。もっとも金融庁は、「9月から3カ月間実施したかんぽ生命・日本郵便への立入検査などを踏まえ、グループを統括する持株会社の責任は重いとして、長門氏の辞任は不可避との考えになっていった」(関係者)という。立入検査では、最大30人規模の検査官が投入され、不適切販売を厳しく追及する態勢がとられていた。
 そろって辞任した3社のトップは、いずれも第2次安倍政権発足後の16~17年に就任。菅義偉官房長官、そして菅氏の信頼が厚かった森信親前金融庁長官が人選にかかわったとされる。それにもかかわらず、18年末に、ゆうちょ銀行の貯金預入限度額を19年4月より1,300万円から2,600万円へと倍増させることで決着し、金融庁が“完敗”。このときから、「長門氏らと金融庁首脳陣との間にすきま風が吹くようになっていた」(金融庁関係者)という。
 特別調査委員会(委員長・伊藤鉄男弁護士)は12月18日に報告書を公表し、販売員の規範意識の低さや達成困難な営業目標が不正拡大につながったと結論付けた。ガバナンス上の問題にも言及し、「問題を矮小化する組織風土」だったと指摘した。

難しくなる株式売却とユニバーサルサービス・・・
誰も解けない方程式・・・



この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2020年1月13日号(3338号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから