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2020.02.10.

拍車が掛かるSBI「第4のメガバンク構想」

昨年9月の島根銀行との資本業務提携から動き出したSBIグループによる「第4のメガバンク構想」。地銀と資本業務提携を結んで各行の業績改善と地方創生を実現させるとともに、自らの収益基盤も広げる構想だ。昨年11月には福島銀行、今年1月には筑邦銀行への出資も決め、2カ月に1行のペースで着々と自陣を広げつつある。2月には共同出資会社を設立する予定で、地銀に対する投資機会の拡大をもくろむ。こうしたなか、SBIが新生銀行の第4位の株主に浮上した。

V字回復へのコミットメント
 「(再生に)1年もかけない」。SBIホールディングス(HD)の北尾吉孝社長がこう公言していた島根銀行の業績改善に向けて、新たな施策が打ち出された。1月21日、島根銀行は投資信託・債券の窓販事業をSBI証券に譲渡することで基本合意した。2019年3月期における同事業の経常収支は1,000万円の赤字。同事業の顧客口座数は約9,800あるが、不稼働口座もかなりの割合に及ぶため、「当行の規模に比してシステムコストが重荷になっていた」(島根銀行SBI未来共創プロジェクト推進室)。SBIHDが1月31日に行った今年度の第3四半期決算会見で、SBI証券の髙村正人社長も「大手ベンダーが提供する窓販システムを利用しなくなることで、島根銀行は数千万円単位のコストダウンにつながる」と説明する。
 顧客の口座および資産はSBI証券へ移管されるが、島根銀行はSBI証券から金融商品仲介業務を受託して引き続き投資信託・債券を販売するため、「既存顧客の担当者が当行からSBI証券に替わるわけではない」(同推進室)。さらには、SBI証券が運営するコールセンターやSBIグループが強みとするITの活用によって、より高度なサービスを顧客に提供できるようになるという。
 他方、SBI証券は、業界トップの証券口座数を誇る野村証券(約533万口座、19年12月末時点)に肉薄する約514万口座(同時点。SBIネオモバイル証券の口座含む)を獲得しており、半年程度で野村証券を追い抜く目標を掲げる。SBIからすれば投資先である島根銀行の体質強化と証券口座獲得という双方を得られる構図だ。
 SBIHDは、島根銀行の21年3月期におけるコア業務純益黒字化を必達目標としている。16年度からコア業純が赤字に陥った元凶といえる新本店ビルの減価償却費を打ち返すため、本店フロアを転貸するためのテナント探しをSBIグループと共同で実施していく。また、SBIグループの資産運用ノウハウを採り入れて有価証券ポートフォリオの再構築を進めており、今期、評価損を抱えている債券や株式等の売却損として17億4,000万円を計上。ほかにも店舗再編に伴う減損損失などを計上したことで、今期の連結最終損益は23億8,000万円の赤字が見込まれている。ただ、これらの損失は急ピッチで進めるV字回復への布石でもある。SBIHDの北尾社長は1月31日の決算会見で「21年3月期のコア業務純益黒字化は私どももコミットメントする」と強調し、来期のV字回復を明確に宣言した。
 SBIグループは一時債務超過に陥った韓国のSBI貯蓄銀行を13年3月に連結子会社化し、15年6月期には通期黒字を達成させた実績がある。投資家として実利を得るためにも、島根銀行再生に本腰を入れる。

地方創生に重きを置く提携も
新生銀行の第4位株主に


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2020年2月10日号(3342号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから