新聞の盲点

一般社団法人金融財政事情研究会創立と同時に創刊された、金融の専門週刊誌『週刊 金融財政事情』に掲載のある記事になります。

2020.03.23.

出始めた金融不安の芽、コロナショックは金融危機を招くか

コロナショックの動揺が止まらない。各国が協調的な対策を打ち出しても、株式市場は歴史的な下げ幅を記録した。WHOが「今やパンデミックの中心」と指摘した欧州では、感染者と死者数が急増、移動制限など強烈な経済封鎖も発動されている。とりわけ事態が深刻なイタリアでは、もともと民間銀行の不良債権比率が高く、景気後退を食い止めるための財政力も乏しい。貸し倒れの大幅増加が懸念されており、市場は同国を中心とする金融不安の芽に神経を尖らせている。


ハイイールド債に暴落の予兆

 「先週、米国債を含むいくつかの重要な金融市場で、ストレスと流動性に関する機能障害のサインが見られた」。この発言の主は米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長。3月15日に連邦公開市場委員会(FOMC)を前倒しで実施した際の会見でこう指摘した。
 実際、安全資産の代表格である米30年債の売値・買値幅はハイイールド債並みに拡大しており、取引が困難になっているとも報じられる。米10年債利回りが3月9日に一時、史上最低の0.3%を付けてから13日や17日に一時1%台にまで急上昇した背景には、「ヘッジファンドなどの短期筋が損切りや解約対応の資金捻出のために長めの国債を投げ売りしている」(明治安田アセットマネジメント・杉山修司チーフストラテジスト)との観測がある。
 ハイイールド債などの米クレジット市場では、リスク資産の投げ売りが如実にうかがえる。3月13日のハイイールド債の対米国債利回りは、売りが殺到したことで3月6日比2.27%ポイント高い7.27%に急騰。エネルギーセクターだけで見ると6.75%ポイント高い17.55%にまで跳ね上がった。信用力が低い企業向け融資の米レバレッジドローンも同日、対LIBORで6日比1.88%ポイント高い6.39%となり、これを裏付け資産とする証券化商品のCLO(ローン担保証券)も、トリプルA格ですら6日比で0.39%ポイント高い1.53%と上昇した。
 原油価格の急落もクレジット市場の混乱に拍車を掛けている。主要産油国の減産継続協議が3月6日に決裂し、サウジアラビアの増産計画の公表で原油価格が急降下。2月まで1=50ドル台前半だったWTI原油先物価格は足元、30ドルを下回って推移している。主要産油国には、採掘コストが高い米シェールオイル企業を淘汰に追い込む思惑があるとみられ、クレジット市場ではエネルギーセクターの経営不安が加わってハイイールド債の利回りがより上昇した。
 投資家の不安心理を数値化した恐怖指数(VIX)は16日、リーマンショック時と同水準の85にまで達しており、市場参加者は本格的なリスクオフの到来に身構えている。さらに市場では、景気悪化が金融危機を招く「第2幕」に移行するシナリオまで意識されるようになっている。

懸念されるイタリア発の金融危機・・・
貸出債権の減損ルールが追い打ち・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2020年3月23日号(3348号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから