きんざい Online

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2020.03.16.

金融庁が水面下で検討遂に始まる「可変料率」を巡る議論

今事務年度の金融行政方針にも掲げられた預金保険制度の「可変料率」について、金融行が水面下で検討を進めている。可変料率は海外では一般的に導入されており、日本が導入している一律の保険料率と比較すると破綻リスクの高い銀行がより高い保険料を負担するため、公平性が高い。しかし、可変料率の導入に当たっては、多数の論点を整理する必要がある。ただ、その論点を検証していくと、おぼろげながら可変料率の制度設計が見えてくる。


会議体を発足させて議論開始へ

 金融機関が破綻した場合に一定額の預金等を保護する預金保険制度の原資(責任準備金)は、金融機関が支払う預金保険料で積み立てられている。現在は、すべての金融機関に一律の預金保険料率を課しているが、金融庁は金融機関の健全性に応じて料率に差を設ける「可変料率」の導入を検討する考えを示している。このことは今事務年度の金融行政方針にも盛り込まれており、その狙いについて「地域金融機関の将来にわたる健全性を確保するための規律付けやインセンティブ付与」と説明している。
 金融機関にとって預金保険料の負担は軽いものではない。全国地方銀行協会の調査によると、2018年度の地銀(地銀協加盟行)全体の経費内訳において、預金保険料は物件費の8.9%と大きなウェイトを占めている。また、大半の地銀が兆円単位の預金を抱えているため、「たとえ0.01%の引き下げでも経費削減効果は絶大」(地銀関係者)だ。
 金融機関の健全性に応じて預金保険料率に差を設けることは、預金保険法ですでに認められている。金融行政方針の記述からは、可変料率の対象として地域金融機関を念頭に置いているように読めるが、「地域金融機関のみを可変料率の対象とすることは法令上難しい」(金融庁幹部)ことから、「メガバンク、地銀、信金・信組に対して一律に可変料率を課すことが現実的」(同)。
 メガバンクや上位地銀など経営の健全性が高い金融機関は「そもそも預金保険制度を使う可能性が低い銀行が巨額の保険料を納めるのはおかしい」(大手地銀幹部)との不満を抱えており、可変料率の導入に歓迎だ。海外に目を向けても可変料率を導入している国は多く、国際預金保険協会(IADI)の17年調査によると、回答のあった135機関中65機関で可変料率が導入されている。金融庁は「今事務年度中をメドに外部有識者会議を立ち上げた上で報告書を出す」(幹部)と話しており、近く可変料率の導入について議論する会議体が発足しそうだ。
 ただし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、議論が遅行する可能性があるようだ。金融庁は議論を深めるためにも、先行する海外事例の調査・研究を十分に行うことが重要だと考えているが、新型ウイルスの影響で海外出張が制限されている。問い合わせをした際の海外からのレスポンスも遅くなるようだと、「その分だけ報告書の取りまとめは後ろにずれ込むこととなる」(金融庁幹部)。

整理が必要な三つの論点・・・
望ましい制度設計の手法・・・


この記事の続きは『週刊 金融財政事情 2020年3月16日号(3347号)』に掲載されております。『週刊 金融財政事情』の詳細はこちらから