金融機関の信託業務にはどのようなものがあるか。どのような根拠法によるものか
金融機関の行う信託業務には、各種信託の引受けと併営業務、信託兼営金融機関の代理店業務、受益権売買等業務があり、業務を行うには信託業法、兼営法、金商法等の規制に服する。
併営業務には、不動産業務、年金業務、証券代行業務、相続関連業務等がある。
銀行その他の金融機関は、兼営法の定めにより内閣総理大臣の認可を受け、信託の引受けとその併営業務(【20922】参照)を営むことができる。併営業務には、不動産業務(【20949】参照)、年金業務(【20954】 【20955】参照)、証券代行業務(【20956】参照)、相続関連業務(【20937】参照)等がある。
引き受ける信託財産の種類は兼営法で制限されていないため、認可申請の際に添付する信託業務の種類および方法書に記載した財産を引き受けることができる。実務上の当初信託財産には金銭(単独運用型と合同運用型)、動産、不動産、金銭債権等があり、さらに知的財産権などの財産も対象となる。
信託目的によって、運用目的の信託、年金信託、資産流動化のための信託、贈与・相続代替の信託、公益信託などがある。
信託代理店とは、一般に信託銀行の行う契約締結の代理、媒介または顧客の紹介を行うものであるが、その業務には、信託契約の締結の代理または媒介を営む信託契約代理業(信託受益権の発行者を受託者とする信託の場合は金融商品取引業)と、信託契約以外の信託銀行が行う併営業務の代理または媒介とがある。
このうち、信託銀行が行う併営業務の契約締結の代理または媒介を業として行うことは代理店にとって信託業法の登録の対象ではない。ただし、信託銀行が、その所属する代理店の設置・廃止等について兼営法により届け出る際には、信託契約の締結と併営業務の契約締結のいずれの代理店の場合も対象となっている(【20923】参照)。
信託受益権は平成19年9月の金商法の施行により一律に有価証券またはみなし有価証券とされたことから、その売買等は金融商品取引業としての規制に従うこととなった(金商法2条1項・2項・65条の5第1項、兼営法1条1項2号)。